皆さんのコメントで気づきましたが、昨日(2013年1月8日)は大変な一日だったようです。
コメント返信より記事追加を優先しますので、返信はあとにさせてください。ごめんなさい。
1月8日午後、広島電鉄株式会社の臨時取締役会により、
越智秀信社長が解任されました。
タイムリーにも1月6日に書いた記事にある通り、越智社長は駅前大橋ルートについては「地下案以外にない」というほどの地下案推進派でした。
→
広電駅前大橋ルート(25) - 1年間の経緯のまとめ。高架案は是か非か。取締役会では、新型車両の視察のために招集に応じなかったとされる越智氏を除く全取締役の全会一致により、越智氏の降格が決まりました。
プレスリリースによる降格理由は「
越智氏の独断的な業務執行により、会社組織としての正当な業務執行に支障をきたしているため、経営体制の刷新を図るものであります。」とのことでした。
→
広島電鉄 - 代表取締役の異動に関するお知らせ尋常ではない降格理由で、取締役会が全会一致したということに、越智氏が広電でも孤立していた状況が見えますが、その内情については日経新聞の記事が詳しく取り上げていました。
広電社長、事実上の解任 駅前大橋線で孤立か
日本経済新聞 2013/01/09 06:00 強調はめりみり
→元記事リンク広島電鉄は8日、越智秀信社長が取締役に降格し椋田昌夫専務が社長に昇格したと発表した。越智社長は就任から約2年半での交代となる。国土交通省出身の越智氏は大田哲哉元社長(故人)の遺志を引き継ぎ、最大の懸案であるJR広島駅前に直線で入る「駅前大橋線」の整備計画を推進していた。だが、車両の進入方法を巡り社内対立が表面化。越智氏は社内をまとめ切れなかったことが今回の突然の交代につながったとみられている。
社長交代は8日に開催した臨時取締役会で決定した。同日付で越智氏の事実上の解任を実施した。広電は発表文の異動の理由で「代表取締役の独断的な業務執行で会社組織の正当な業務執行に支障をきたしている」と、越智氏への不信感を表明した。
越智氏の解任は緊急動議ではなく、4日付の取締役会招集通知には「代表取締役の解職について」と記されていた。広電に近いある経営者は「越智氏は経営陣の中で孤立しており、社内でクーデターが起こりかねないと聞いていた」と話す。
越智氏は大田元社長が国交省から招いたが、社長に昇格する椋田氏も大田元社長の信頼が厚く、大田元社長は椋田氏が越智氏を支える経営体制を目指していた。椋田氏は鉄道、不動産、人事部門など幅広い分野を経験し社内外での人脈も広い。椋田氏の社長就任で、駅前大橋線など広電の経営方針が大きく転換する可能性がある。
越智氏が降格された今回の人事の直接の引き金となったとみられるのは、「駅前大橋線」の整備計画。現在、広島市中心部から遠回りして広島駅に入る路線を直線にして時間短縮を図る大事業だ。広島市の検討委員会は2010年から広電の乗り入れ方法を検討しており、高架方式と地下方式に絞り3月までに結論を出す予定だった。
越智氏は10年の社長就任当初から地下方式を主張。昨年末の日本経済新聞のインタビューでも、「高架方式は道路上に軌道を支える柱を設置するため駅前の交通が混雑する」と、地下方式のメリットを訴えていた。
だが、昨年12月の市の委員会では、複数の市議会議員が高架案を主張。広電の社内でも「事業費を抑えられる高架案が望ましい」とする意見も広がっていた。一方で、越智氏は「12年度中に基本方針を決めてもらわないと、予定している16年度末の完成に間に合わない」と焦りを募らせており、これが経営陣の中で孤立を招いた理由ともみられている。
広電は昨年、電車創業100周年を迎え、老朽化した路面電車の更新や古い車両を活用したレストランの開店などの記念事業を開催。「次の100年も市民に愛される企業にしたい」と話していた。記者会見を頻繁に開き、自ら事業について説明。メディアとのインタビューでも広報担当者を介さず単独で応じることが多く、「スタンドプレー的に見える部分があった」との指摘も多い。
また、NHKニュースでは、椋田新社長の記者会見が報道されています。
社長降格 “独善的”が理由
→元記事リンク・動画あり広島電鉄が越智秀信前社長を取締役に降格する決議を行ったことに伴い、新たに社長に就任した椋田昌夫氏が記者会見し、運賃や路線の整備などの重要な案件について越智前社長が取締役会を通さないまま自身の考えを公表し社内を混乱させたことが、降格の大きな理由だと説明しました。
広島電鉄は8日の臨時取締役会で越智秀信前社長を非常勤の取締役に降格させ、それに伴って新たに社長に就任した椋田昌夫氏が9日、広島市の本社で記者会見を開きました。
この中で椋田新社長は降格の理由について、「運賃の値上げや広島駅前を通る路線の再整備といった重要な計画に関連して、取締役会にかけられていない案を次々と公表した」と述べ、越智前社長の経営手法が独善的だったと批判しました。
そのうえで椋田新社長は、運賃の値上げと、広島駅前の路線の再整備について、いったん白紙に戻すなどして見直す考えを示しました。
会見の中では、椋田新社長が「
電車運賃改定事案、駅前通りの電車線路整備事案への対応が越智氏を降格した理由です」と明言し、「
社の重要な方針は取締役会へ通すようにお願いしたにもかかわらず、越智氏の私案か、会社の案かわからないことがどんどん発表されてしまった」と不満を見せていました。
この事実経過をみると、広電の社内で地下案反対派が地下案推進派の越智氏を追い落としたことになりました。
このため
地下案が消滅したと考えていいのではないでしょうか?
ようやく、「高架案は可能か不可能か」の押し問答から脱し、
広電高架・JR橋上駅・新駅ビルを含めた広島駅のあり方を考えるスタートラインに立てた、と思います。
なお、広島市議会の都市活力向上対策特別委員会(2012年12月20日開催分)で駅前大橋ルートについて議論されていました。
→
広島市議会 - 都市活力向上対策特別委員会この内容によると、広島市が出していた技術的検討業務の結果、
「地平案は電車を通すための信号時間を取れず技術的に不可能であるが、高架案・地下案はともに技術的に実現可能」との結果になり、このことを広電の参加する「広島駅南口広場再整備に関する連絡調整会議」(第4回・11月開催)にて報告し、広電も了解しているとのことです。
それ以来のここ数ヶ月、
越智氏は「技術的に高架は不可能」と言えなくなり、それでも地下案を推進するために様々な理由を取り上げていたのでしょう。
このことで越智氏の地下案推進は説得力を失いましたから、広電内部が利点が多い高架案に傾き、越智氏が追い落とされるのは無理もない話です。
また、この内容には別の気になる点がありました。
高架案については
・現在の広場に整備する案:駅前広場に入ってから
北へ曲がり、バスホーム上にホームを設ける案
・隣接地に拡張する案:現駅ビルの解体を前提にし、
現駅ビル敷地を含めて直線上のホームを整備する案
の2案を検討しているそうです。
つまり、広島市では私の検討案とは異なり、
道路を跨ぐ部分に分岐をつくらず、長スパンを複線分の橋桁とする案として検討しているようです。
また、エールエール地下広場部分を長スパンで飛ばすようなことはせず、地下広場内に数本(4本程度)の柱を落とす案としているようです。
この都市活力向上対策特別委員会については大変興味深い議論がされていますので、またまとめてみたいと思います。
(録音は約90分、紙資料非公開なので、まとめるのは随分時間のかかる作業になりそうです。いつになれば出来るやら。)
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- 2013/01/09(水) 23:30:47|
- 広電駅前大橋ルート
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もう年が明けてしばらくたってしまいましたが、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
このブログは、
広島駅を中心とした開発が「一進一退」する中で、広島の将来像を自分なりに表現したいと思って始めたものでした。
初めての記事を書いたのは一昨年の12月ですが、メインの連載である「広電駅前大橋ルート」を書き始めたのは年が明けた1月で、それ以来の1年間、ずっと頭の片隅にこの駅前大橋ルートのことがありました。
(だから、他の開発計画をほっといて駅前大橋ルートのことばかり話していますね。)
昨年1年は、広島では様々な動きがありましたが、とりわけ広島駅周辺に関しては
広島駅在来線橋上駅舎・自由通路
広島駅前Bブロックの
2大案件が着工できたのが喜ばしいニュースでした。
さらに、Cブロックも着工を控えた状況ですし、紆余曲折があった二葉の里や高速5号線も将来像が見えるようになってきました。
さて、対照的に、平成23年度中、つまり昨年3月までに高架案・地平案・地下案のいずれかが決定するはずだった
広電駅前大橋ルートは、未だに何も決まっていません。私がここで「
高架案が技術的に見て最良の方法ではないか」と主張するようになったのは、3案が示された後、
独自の検証をし、ここで公開してきたからです。
その背景には、昨年元日の中国新聞Leaders倶楽部や、そのころ同紙に掲載された
広電・越智社長の主張が高架案を認めないものだったのに対し、高架案が本当に不可能か疑問を覚えたことがありました。
当時の越智社長の主張は、過去記事に引用していますが、それを再掲します。
→
広電駅前大橋ルート(5) - 越智社長の指摘する「高架案の技術的問題」広島駅南の路面電車新路線「可能なのは地下案」
―広電社長インタビュー
2012/01/07 中国新聞掲載、強調はめりみりによるJR広島駅南口(広島市南区)に乗り入れる路面電車の新路線「駅前大橋線」の構造について、広島電鉄の越智秀信社長は中国新聞のインタビューで、「可能なのは地下案だけ」との見解を表明した。同社は独自に総事業費を約140億円と試算して上で、約1割を負担する考えがあることを明らかにした。
<中略>駅前大橋南側と南口広場の間を高架で結ぶ案は「急勾配で電車が上がれない。予定地の下には地下街があり重い高架を支え切れない」と説明。「現実に可能な選択肢は地下案しか無い。地下案でやるかやらないかだ」と述べた。
<中略>地下案は稲荷町交差点北側から地下に入り、南口広場の地下に新設する電停に乗り入れる
<中略>越智社長の見解について、市道路交通局の高井巌局長は「現段階では3案を平行して検討しており、絞るまでに至っていない」と述べた。市は総事業費を250億~300億円と見込み「広電の試算額では収まらない」としている。
これに対し、広電以外に地下案に賛同する意見は新聞紙上で取り上げられることはなく、広島市は中立(?)、JRは在来線橋上駅舎との一体整備ができることから高架案寄りという状況で、議論が膠着して決定の延期が繰り返されることが1年続きました。
さらに、3案のいずれにするかを決定するのは市でも事業者(広電)でもなく「広島駅南口広場の再整備に係る基本方針検討委員会」だったのですが、この委員会の構成員は技術者ではないので、「技術的に問題」と広電が主張する以上、彼らには決められなかったのでした。
結局、広島市は地下案・高架案の「技術的検討業務」を出すことになりました。
この業務が終わったのが10月末でしたが、これを踏まえた検討委員会は、年明けまでまだ開催されていません。
12がつになって、広電と検討委員会以外では駅前大橋ルートに関する動きがあり、
情勢は高架案優位になっていると見ますが、いかがでしょうか。
JRについては「高架案の場合、自由通路との連絡のためには駅ビル建て替えが不可欠、なので高架案が決定すれば建て替えを検討する」と表明して事実上高架案を推進しています。
→
鯉党のひろしま街づくり日記 -- JR西、"高架"条件で駅ビル建て替えを検討!さらに、広島県警が「信号制御や交通渋滞の面から地平案は不可、他2案でも、比治山線は稲荷町から分岐するよう経路を変更するべき」としたことから、地平案は事実上なくなりました。
→
広電駅前大橋ルート(24) - 広電高架と広島駅新ビル に引用
ここでようやく、比治山線移設を前提として高架か地下か、という選択肢に絞られたのですが、
広電社長の主張は「地下しかない」ということで一貫しています。
ただ、「技術的に地下しか不可能だ」と言っていたのにもかかわらず、技術的検討業務が始まったあとは様々な別の理由を挙げているのは気になるところです。
(記事によって信号で渋滞を起こす、車線数が減る、などといろいろあるようです)
さてさて、今年も中国新聞Leaders倶楽部で広電・越智社長のロングインタビューが掲載されています。
駅前大橋ルートを中心に、読んでみましょう。
「超低床」導入進め利便性追求
広島電鉄 代表取締役社長 越智 秀信(おち ひでのぶ)氏
中国新聞 2013/01/01 別冊特集「中国新聞Leaders倶楽部」 一部抜粋
→元記事リンク
―電車開業100周年の2012年はどんな年でしたか。
原爆の大きな被害に遭ったことやマイカー時代の到来による利用者の激減など、さまざまな経験を積み重ねてきた中で、100周年は大きな節目でした。また同時に、通過点に過ぎないとも考えています。サービス向上を図るという意味では「次の100年」に向けた布石を打った1年だったとも言えます。
―JR広島駅南口(南区)に電車を乗り入れる「駅前大橋線」計画の進ちょく状況はいかがですか。
顧客ニーズを高めるためにも、速度アップは欠かせません。駅前大橋線が完成すれば、現在15分から25分かかる広島駅から紙屋町(中区)までが約9分で行き来できます。
広島駅南口の再開発が進めば、交通量は大幅に増えます。電車は路上を通しても、高架にしても車線に影響するので、地下を通すことが最善策です。地下ルートは、経費がかさむと言われていますが、当社の計算では、高架とほぼ変わりません。
「地下しかない、地下でやるかやらないか」と言い切っていた昨年に対し、「地下が最善」とトーンダウンしていますし、
「技術的に不可能」という主張は影もありませんね。
また、地下案と高架案の
建設費がほとんど変わらない根拠は、広島市や検討委員会に示せるのでしょうか。
これまでの広電の主張が適切かどうかは、今月、検討委員会が開かれ、技術的検討業務の結果が示されることでわかるでしょう。
仮に地下か高架か、いずれかが優位な結果が出たとして、これまでの経緯から、すんなりと事が進むように思えないのが参ったところですが。
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- 2013/01/06(日) 19:40:22|
- 広電駅前大橋ルート
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<12/28 追記・内容整理>ついにJRが「広電が高架になる場合、ASSEを建て替える必要がある」と表明したそうです。
→詳しくは「鯉党のひろしま街づくり日記」さんで高架案の実現に向けて、"高架案は(いろいろ理由があって)不可"という広電からみると「外堀が埋まってきた」といえる状況になりました。
広電「駅前大橋線」は2案
2012/9/9 中国新聞 →元記事広島市は20日、広島電鉄(中区)が構想する路面電車の新路線「駅前大橋線」について、JR広島駅南口(南区)へ乗り入れる構造を高架か地下の2案から選ぶ方針を明らかにした。交通渋滞の懸念から平面案は見送る。駅前大橋線に接続する比治山線も新たな見直しルート案を示した。市は本年度中に、路面電車の乗り入れ構造を含めた広島駅南口広場再整備の基本方針を決める方針でいる。
~中略~
駅前大橋線の乗り入れ方式は、広島駅南口広場再整備の焦点の一つ。1月以降、有識者でつくる市の検討委員会が、高架か地下の2案のどちらかに絞り込む予定でいる。
この中国新聞記事によると、次回の
「南口広場検討委員会」は1月以降で、今年度中に広電のルートを決定だそうなので、そこで「技術的検討業務」の結果が明かされ、広電が言っていた「高架案は技術的に不可能」という主張が崩れることが濃厚です。
このためか、広電は現在、地下案推進の理由として技術的な内容以外のさまざまな理由を主張しています。
また、「高架案が可能」となる理由でこれまでの私の予想では取り上げていなかった点も明らかになっています。技術的検討業務の一部と思しき高架橋脚の図が「鯉党」さんが紹介されている
若林議員のWebサイトに記載されていますが、これが広島市の当初案よりはるかに容易な構造であるという点です。これについては、後日別記事で解説します。
そうなれば、やっと高架案での駅前大橋ルート建設が進められることになるでしょう。
(ただ、中国新聞に出る「いつ検討委員会が行われて、いつルート案が決定」という情報は、今まで全く当てにならなかったのですが。)
そこで、おなじみの予想図です。
以前出したD案の全高架案をもとに描いていますが、
建設費の安い駅前大橋までの高架でも駅構造は同じになります。

まず、この図の前提条件を挙げます。
・JR橋上駅舎と自由通路の設計を変えない(自由通路-広電高架駅の接続部は一部変更していますが、自由通路より広電高架駅の竣工が遅くなると予想して、現在の設計のまま完成したものを使用してから、新たな接続部を付加する形になるとします。)
・広電高架の高さは標高10.5m(旧ASSE3階レベル)(自由通路の高さと揃うのが理想ですが、そうすると桁高1.5m程度となるため駅前交差点での長スパンが困難です。そのためとりあえず技術的に無難な高さとしています。)
・駅ビルは段階的に建て替え、商業施設、JRの業務機能を維持する(自由通路の完成に合わせて広電駅前大橋ルートを整備するためには、ASSEの機能を速やかに移転させられる低層ビルを先行整備するのが不可欠でしょう。図の「新南東ビル」はそのためのビルです。)
そして、焦点となる駅ビル建替えの方法についてですが、順調に計画・設計・施工が進んで下記のような流れになるかと予想します。
もう着工している橋上駅舎・自由通路以外は、こんなに順調には行かないと思いますが・・・
1,橋上駅舎着工(2012年7月)
2,ASSE駐車場部分解体(2014年10月ごろ)
3,新南東ビル東半分着工(2015年1月ごろ)
4,橋上駅舎を跨線橋として仮使用開始、現跨線橋解体(2015年4月ごろ?)←勝手な予想ですのでご注意
5,自由通路着工(2015年10月ごろ)
6,新南東ビル東半分竣工(2016年1月ごろ)
7,広電駅前大橋ルート・広電広島駅着工(2015年10月ごろ)
8,新南東ビル1期(ASSE移転)オープン、ビル1階仮改札・ビル地下新業務施設使用開始(2016年3月ごろ)
9,ASSE残り部分解体、新南東ビル西半分・広電JR接続部・新南西ビル着工(2016年5月ごろ)
10,自由通路竣工、橋上中央改札使用開始(2017年4月ごろ)←自由通路の全工期が2017年8月末です
11,新南東ビル西半分・広電JR接続部竣工(2017年11月ごろ)
12,新南東ビル2期拡大オープン、広電駅前大橋ルート開業(2017年12月ごろ)
13,新南西ビル商業施設オープン、南改札使用開始(2018年3月ごろ)
14,新南西ビル高層部竣工、オフィス使用開始(2019年3月ごろ)
駅ビルの内容は色々と考えられますが、近年の駅ビル開発をみると、百貨店の不調とファッションビル・大型専門店の好調がよく伝えられています。
(代表例は大阪ステーションシティのLucuaと三越伊勢丹の関係ですね)
このことから、商業施設部分は現在のASSEを発展させ、橋上駅舎・新幹線駅舎内の商業施設と一体化させた
大型ファッションビルと、大型専門店との組み合わせが現実的ではないでしょうか。
大型専門店としては
立町の東急ハンズの移転を予想してみます。
東急ハンズのある東映ビルは老朽化が進んでいる上、上層の映画館部分を余している、7階だけエレベーターが通じないなど、構造的に解決できない問題点があります。
そのためいずれ東映ビルの建て替えが必要になり、東急ハンズは立ち退く事になるでしょう。
それなら、東急ハンズは基町のロフトと商圏の住み分けができる広島駅に移転することが十分あり得ると思います。
この案での課題は、広電広島駅の高さでしょうか。
広電広島駅が自由通路・橋上駅舎の高さと合っていないために段差解消の処理が必要でした。
自由通路は十分な長さがとれたので大型スロープと幅広階段で対応していますが、南改札内は十分なスペースが取れず、階段とつづら折りのスロープになってしまいました。
また、このために新駅ビルの1階階高が高くなっているのも気になるところです。
(近年の大型ビルでは、この程度の階高も珍しくないので、コストを別にすれば大きな問題ではありませんが。)
以下、この追記をする前にコメントを頂いているので返信を兼ねて説明を書きます。
>広島県廿日市市に住んでる さん
車線については、中央分離帯の緑地帯を線路に置き換えることになるので、減りません。
緑地帯より複線の軌道のほうが幅広ですが、車線幅を少し狭くすれば十分対応できます。(狭くするといっても、相生通りの電停付近や平和大橋のような狭さにはならないかと。)
仮駅舎については、上に書いた説明のようにビルの段階的建て替えで対応できると思います。
(図に書いたらもっとわかりやすいでしょうけれど・・・すいません。)
>きゆう さん
おっしゃるように、ペデストリアンデッキがなければ、景観的に大変すっきりしたものになりますし、地下広場のキャパシティも活かすことができます。
ですので、私もA・Bブロックへのペデは悩むところでした。
(Cブロックはマツダスタジアムの関係でペデ一択ですけれどね・笑)
バスのりばとのスムーズな連絡をかんがえると、Aブロックへのペデは不可欠で、AとCにペデがつくなら、Bにペデがないのはおかしいし、と考えて今の形になっています。
もう少し考えたいところですね。
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- 2012/12/26(水) 00:30:37|
- 広電駅前大橋ルート
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以前の記事で概略をアップしたプランDを少し改良してみましたのでご紹介します。
また、県警が比治山線のルート変更を要請したことに絡めて、高架を稲荷町交差点まで延長した案(全高架案、と呼ぶことにします)をあわせて検討してみました。

※プランDと合わせて全高架案を描いたのですが、「プランDで駅前大橋までの高架」や、「他プランの全高架案」も可能です。
■プランDについて
以前挙げた特徴は以下です。
・乗車ホームが2面になるため乗客にとってわかりづらい(一応、「原爆ドーム経由」と「広島港行き」とで分けていますが、八丁堀・紙屋町に向かう乗客はどっちで待てばいいのやら…)
・渡り線で到着する電車と発車する電車とが頻繁に交差するため渋滞を起こしやすい
・スムーズな客捌きができる降車専用ホームは「宮島線」「宇品線」の2系統に対応。「江波線」「比治山線」は乗降兼用ホームで車内清算。
・車外改札は「宮島線」「宇品線」の2系統分がそれぞれ分かれている
・ホームの総延長がプランCより短いため、移動距離が短い
・一方、乗客の多い「宮島線」「宇品線」のホームを10m長くしたため、電車の大型化に対応できる(交差点間隔の関係で、すぐには無理な話ですが。)
・プランCに比べ駅施設がコンパクトで高架の面積が小さく、建設費が抑えられる。
・高架の水平区間が短いため高架の取り付け勾配を35‰に抑えられる。
・道路上に一部の分岐がかかるが、通常の高架構造(上路橋)で対応可能と考えられる
この案の利点をを残しながら、「渡り線で到着する電車と発車する電車とが頻繁に交差するため渋滞を起こしやすい」と言う点を改良したものが、今日の図面です。
具体的には、以前の案では渡り線が1箇所ですべての電車が集中したため、たとえば江波線の到着と宮島線の発車を同時にすることができませんでした。
これを改良し、渡り線を2つにしたことで、電車どうしの交差を最小限にしました。
また、プランCにあわせ、ペデストリアンデッキを追記しています。
■全高架案について
全高架案は、広島駅から稲荷町交差点までをすべて高架とし、広島駅前交差点に加え、駅前大橋南詰、京橋町10番の2つの交差点を立体交差した案です。
高架の延長が長くなるため、建設費や景観については不利になりますが、
地下案に比べて少ない建設費でありながらスピードアップが可能で、道路交通への影響を抑えられる利点があります。
全高架案の場合、高架の延長が長い分、高架案より緩やかな勾配になるかと考えたのですが、交差点を超える箇所があるため上下の勾配が付き、最大の勾配は45‰となり、結局他案と同等という結果になりました。
ただし、緩和勾配をとった上で45‰にしたため、実質的には地下案より緩勾配な条件となっています。
地平案や高架案の場合、交差点付近の車線数が減ることが懸念されましたが、この全高架案では現在並の車線数を確保しました。
(このため、駅前大橋南詰交差点付近ではビームにより高架を支持しています)
駅前大橋付近では長スパンを飛ばしながら美観を考える必要があるかと思い、軌道を駅前大橋と平行な形状とした上、上路式アーチで支える形態としてみました。
また、地下広場を跨ぐ部分に関しても同じ考え方とし、2連アーチを構成させています。
ただ、この駅前大橋部分に関しては、既存の駅前大橋とは全く荷重条件が変わってしまうので、今の橋台とは別に基礎を作る必要がありそうです。
このためには、駅前大橋の橋台を一部撤去しなければならないので、技術的に可能かどうかを検討する必要がありそうです。
(これができるかどうかを検討するのは私にはできません。)
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- 2012/10/28(日) 17:28:28|
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また、予告からしばらく空いてしまいました。
その間にも動きがあったので、少し取り上げてみます。
広電駅前大橋線「高架案」を
2012/9/9 中国新聞 →元記事広島電鉄(広島市中区)が構想する新路線「駅前大橋線」について、JR西日本広島支社の杉木孝行支社長はこのほど、JR広島駅(南区)南口に乗り入れる構造は「高架案が最善」との見解を明らかにした。JR線への乗り換えの利便性などを考慮したとしている。
杉木支社長は2017年度に広島駅2階に南北自由通路を整備する計画に触れ「最短でJRから広電に乗り換えられる案が優れているのではないか」と言及。路面電車の乗り入れ場所は、自由通路に近い方が利便性が高いと説明した。
駅前大橋線の開通時期は「自由通路の完成からできるだけ早い時期が望ましい」とした。また乗り入れに伴う駅の改修については「現状で対応しきれない部分は努力していきたい」と述べた。
広電の越智秀信社長はこれまで、地下で広島駅に乗り入れる案が実現性が高いとの見方を示している。杉木支社長の発言については「バスやタクシー、マイカーの交通処理など、総合的に判断して慎重に検討を進めるべきだ」と話した。
一方、市は道路上を走る「平面」を加えた3案について、技術的な検証を進めている。市道路交通局都市交通部は「有識者などでつくる検討委の議論などを経て、市として最終的な方針を決める」としている。
JRの支社長さんが「広電は高架が良い」と言っていたのは、以前にもここで取り上げたことがあるのですが、(→
記事リンク)さらに一歩踏み込んで、「対応しきれない部分への努力」つまり、
ASSEの改修か、もしかしたら建替えに前向きだと表明したことになります。
一方の広電は、高架案に反対し、地下案しかないと言っていた理由である「技術的理由」に触れていません。
この記事にも一文触れられている通り、広島市が技術的検討業務を出しているので、この結果によっては、
広電が言っていた技術的理由が成立しないことになります。(私は、そうなる可能性が非常に高いとみています。)
広電が「これまでの主張を完全に否定する事実が明かされること」を気にして、これまでの主張とは別の理由を語っていると読み取るのは、邪推でしょうか。
駅前大橋線3案を比較検討へ
2012/9/13 中国新聞 →元記事広島市は12日の市議会都市活力向上対策特別委員会で、JR広島駅南口広場(南区)の再整備の基本方針を年内に決定する考えを示した。広島電鉄(中区)が構想する路面電車の新ルート「駅前大橋線」の乗り入れ方式を「高架」「地下」「平面」の3案の中から決め、基本方針に盛り込む。
再整備は路面電車のホームやバス、タクシー乗り場を利用者が使いやすいよう改善するのが狙い。2010年度、有識者の検討委員会を設け、議論してきた。
基本方針で大きなウエートを占めるのが、駅前大橋線の路面電車が駅前大橋から駅南口に乗り入れる構造だ。
市はこの日、3案について技術的に可能かどうか調査した上で10月以降、検討委が3案から最終案を絞り込む、とのスケジュールを説明。その後、乗り入れ方式を含む南口広場再整備の基本方針を決めるとした。
この内容は、以前に紹介していた(→
記事リンク)「技術的検討業務」を踏まえた内容ですが(特に
下線部)、技術的検討業務の納期は10月末なので、実質的に検討委員会が開けるのは11月以降、というスケジュールがはっきりしている以上、年内に最終案とやらを決定できるかも難しいところです。
ですので、「10月以降に決定する」との発表は、いつもながら怪しい表現に見えます。
そして、最近の記事をひとつ。
広電駅前大橋線に県警が難色
2012/10/14 中国新聞 →元記事広島市による広島電鉄の路面電車の新路線「駅前大橋線」の検討で、同線に接続するために必要となる比治山線の路線変更に、広島県警が難色を示している。「交通渋滞が悪化する」として別ルートが必要と主張。駅前大橋線の在り方の議論に影響する可能性がある。
県警が問題視しているのは、広島駅と広島港を結ぶ比治山線の駅前大橋線への接続方法。市の検討では、現在の的場町電停付近から駅前大橋線まで、比治山通り上に約200メートル、新たな線路を敷き、現在の猿猴橋町などを通るルートから変更する。
県警によると、線路を敷く比治山通りは1日2万2千台以上の車の通行がある。高橋若衛交通部長は「電車を通すと車線が減り、混乱を招く」と説明。比治山線の比治山下電停付近から駅前通りに向けて軌道を新設し、稲荷町で駅前大橋線に接続する別の新ルートを提案する。
市は、駅前大橋線の乗り入れ方式を「平面」「高架」「地下」の3案で検討しており、県警、広島電鉄などと協議してきた。年内に3案を絞り込む方針。ただ、比治山線の接続方法の本格的な議論はこれまで行われていないという。
画像:中国新聞
最近、鯉党αさんの記事で話題になっていた問題です。
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鯉党のひろしま街づくり日記-広島県警、駅前大橋線に懸念)
県警が提案している、稲荷町から比治山下へ抜けるルートは、比治山線のショートカットとなる上、駅前大橋線から比治山線への接続方法が難題の一つであったことを考えると、合理的な解決策となる案です。
新聞記事では、「比治山線の接続方法の本格的な議論はこれまで行われていないという」とあるように、
比治山線の接続方法はほとんど議論されていなかったのですが、駅前大橋ルートを検討する際に重要な内容であることに違いありません。
とくに地下案では、比治山線のルート変更を行わないとすると、本線のトンネルに加え、もうひとつのトンネルを掘らなければならず、
地下案の建設費が高額になる重要な要因でした。
また、以前からこのブログで行っていた「断面検討」では、比治山線地下案の勾配検討はしていなかったのですが、
・比治山線側の勾配区間延長が本線より短い(本線:約310m 比治山線:約180m)
・比治山線側の交差点間隔が本線より短い(本線:京橋町10番~稲荷町が170m 比治山線:猿猴橋南詰~的場が120m)
・比治山線側のトンネル出口が本線より標高が高い(本線稲荷町:2.3m 比治山線的場町:4.3m)
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参考地図この3点より、
本線地下案より勾配が急な条件となり、本線でも勾配45‰ギリギリであった以上、
比治山線の地下化は(県警案の)ルートへ変更しない限り、物理的に不可能です。
なお、この条件を計算してみると、
比治山線地下案の勾配は79.4‰!!!ということになりました。
(なので、45‰で可能、として、建設費を計算していた広島市の資料はなんだったのか、ということにもなりますね。)
県警が提案しているこのルート変更は、合理的ではあるのですが、解決が困難な問題点がいくつかあり、単純に高評価はできません。
比治山線のルート変更は鯉党αさんの記事に詳しいとおり、将来整備が計画されている段原線・東雲線へ接続しなくなりますし、猿猴橋町・的場町・段原一丁目の廃止電停をうまく代替する必要も出てきます。
(比治山線のルート変更を行わない場合でも猿猴橋町は廃止ですが、的場町が近いうえ、高架・地平案では駅前大橋電停を新設できるため、問題にならないでしょう。)
私個人としては、段原線完成後に、比治山線を県警案と同じ松川町まわりへ移設し、広島港方面への直結ルートと位置付けるのが、最も良いのではないかと考えます。
(なお、段原線で代替して比治山線を廃止する、との説もあるのですが、大きく離れているので段原線開通後も比治山線を残すべきだと考えています。)
というわけで、
比治山線のルート変更を行わず、車線減少による渋滞を緩和する方法を考える必要があります。
このポイントになるのは、広島駅への自動車の出入りであり、駅前広場を含めた計画として考えなければなりません。
広電の線路のため、駅前大橋付近は車線数が減ってしまうのですが、広電が撤去されることになる荒神橋は4車線化できることになります。
荒神橋周りを広島駅の進入路として有効に使うように駅前広場を設計することで、駅前大橋南詰を「右折禁止」とし、渋滞の原因を取り除けないでしょうか。
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- 2012/10/16(火) 21:42:57|
- 広電駅前大橋ルート
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