*Hiroshima-Terminal* 広島駅と都市開発について考えてみます

大きく変化しつつある広島駅の計画を中心として、広島の街について考えてみたいと思います。

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白島新駅(2) - 設計変更の良し悪し

旬が過ぎた話題ではありますが、白島新駅(長寿園駅)の整備の遅れについて意見を書いていた以上、取り上げないわけにはいきません。

花と緑、白島新駅で新構想

2012/7/24 中国新聞より→中国新聞サイトへ

広島市は24日、JR山陽線とアストラムラインの結節点となる白島新駅(中区)の新たなデザインを公表した。JR駅とアストラムライン駅を結ぶ連絡通路の屋根を簡素化してコストを削減し、緑化などで「花と緑」というコンセプトを織り込む。事業費は約6億円減の約65億円になる見込みだ。

 当初のデザインは、アストラムライン駅と連絡通路を長さ131メートルの半筒形のコンクリート製屋根で一体的に覆っていた。新たなデザインはこの屋根を77メートルに短縮し、駅部分だけ覆う。連絡通路の屋根は人が通行する部分だけ設け、屋上に芝生などを植える。緑化は松井一実市長が進める「花と緑の広島づくり」を踏まえた。

 市は新しいデザインに基づき、来年初めから本体工事に入る予定で、15年春の開業を目指す。松井市長は24日の記者会見で「連絡通路では通路以外のスペースを花と緑の空間にしたい。維持管理は駅周辺の地域住民にもお手伝いいただきたい」と述べた。

120724_hakushimasta_minimized.png


この記事が縮小案についていち早く取り上げていましたが、広島市道路交通局による紹介ページもこの新しい案を元にした内容に更新されています。
広島市/白島新駅設置の取組状況
そのなかに、白島新駅の整備の遅れについて理由を解説した部分が加筆されていました。

白島新駅のデザイン見直し

1.デザイン見直しに至った理由

 白島新駅のデザインについては、平成22年度に実施したプロポーザルにより選定された設計者の提案を具体化するために、これまで、設計を進めてまいりました。

 しかしながら、連絡通路の施工時における山陽新幹線への影響等についてや火災時における新駅の排煙等の安全対策についての国との協議、また、プロポーザルにより選定した設計者の提案を実現しようとした場合、当初想定していた57億円の事業費が71億円と、14億円増加する見込みであることが明らかとなりました。

 平成23年4月以降、本市においては、限られた財源を有効に活用するという観点にたって、すべての事務事業の見直しを進めています。その中で、この白島新駅に係る計画についても、見直しを行っていくこととしたものです。

2.見直しにあたっての基本的考え方

 事業費縮減の観点はもとより、白島新駅が新たな交通結節点として都心エリアへの主要導線の一つとなり、多くの来訪者等の利用も見込まれる施設となることから、広島ならではの「おもてなしの心」を表現する場としても活用できるよう、「花と緑の広島づくり」の観点も踏まえ、見直しを行いました。

3.デザイン見直しの内容

(1) アストラムライン新駅本体については、当初計画どおりですが、事業費縮減の観点から、連絡通路部分の屋根を簡素な構造形態へ見直すこととし、ドーム状の屋根を取りやめて、歩行者の通行に必要な動線部分のみに屋根を設置します。

(2)「花と緑の広島づくり」の観点から、利用者の動線軸となる中央部の連絡通路において、快適な歩行空間づくりを目指し、地元関係者と協働して、花と緑にあふれる空間づくりに取り組みます。

 また、今回見直しを行った連絡通路の屋根については、国道横断部の連絡通路(2階レベル)から容易に視認できることから、中央部連絡通路全体として統一感のある空間を創出するため、屋根の緑化に取り組みます。



市による解説を見ても、設計変更の理由は予算超過への対応で、その予算超過の原因にはやはり「プロポーザルにより選定した設計者の提案を実現しようとした」こと、つまり、プロポーザルで選定されたシーラカンス案そのものが一般的な構造の駅舎に比べ高価な建設費になってしまったことが含まれていたとわかります。
そして、当初建設の遅れの原因として取り上げられていた「地盤強度の問題」は、この解説によると「施工時における山陽新幹線への影響」が主なものだったようです。


そして設計変更された案ですが、新聞記事にも市の解説にも出ているように「花と緑の広島づくり」をコンセプトとしてまとめられました。
元々のシーラカンス案は幅約20m、高さ約10m(?)のアーチヴォールトで作った下のイメージのような大空間が特徴でした。
120820_hakushimasta_old_innerview.jpg
この空間は中にいる人からはかなりの大きさが感じられる開放感のある空間ですが、一方ではスケールが大きいためにうまくデザインしなければ殺風景になりそうなところでした。
(そして、このイメージパースは、あっさりとした表現も相成ってですが、私には随分味気無い空間に見えます)
また、連絡通路・改札・ホームが一直線に見渡せる、空間の一体感が大きな特徴でした。

変更案では、通路部分のスケールが小さくなり、コンセプトでもある植樹や周囲の街の風景がよく見えるため、中に入ったときの味気なさは緩和されています。
一方で、改札やホームと連絡通路との間の見渡しがきかなくなったため、空間の一体感はなくなっています。むしろ、連絡通路にいる人の視野は「トンネル型駅舎」よりも周囲の街に向くでしょう。
また、元の案では一体の広場のような空間を形成していたのに対し、屋根の有無によって通路と屋外が明確に区分されてしまったことをどう評価するかは悩むところです。

こうしてみると、新しい設計案には良し悪しありますが、元のコンセプトと新しいコンセプトとをうまくまとめられた案なのではないかと思います。
白島新駅の整備が遅れてしまったことは非常に残念ですが、この案に決定したことで、以降の整備が順調に進むことを祈ります。
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  1. 2012/08/20(月) 23:09:52|
  2. 白島新駅
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白島新駅(1) - 白島新駅の工期延期・予算超過は「斬新な」設計案が一因??

今更感のある話題ですが、白島新駅の完成延期問題について取り上げてみます。

まず、白島新駅とはなんなのかについては、下記を参照いただくとして。
白島新駅 - Wikipedia
広島市/白島新駅の取組状況

白島新駅は、アストラムラインとJRの交点になる白島北町に、両線の乗換駅となる駅を設置する計画で、2014年春の完成を目指し、設計案(意匠設計者・詳細設計者)の決定までは順調に進んでいました。
しかし、着工寸前の2月初旬、
「追加の地盤工事が発生した」という理由で工期が1年延長され、
「地盤工事費用を捻出するため」という理由で連絡通路が簡素化されることになりました。
この件を載せた中国新聞の記事は過去記事(「広電駅前大橋ルート(14) - 白島新駅の記事から、ルート決定と地盤の話」)に全文転載しています。

これは非常に残念な出来事でしたが完成延期の理由は致し方ないもので、また、地盤が関係する工期延長はよくあることでもありました。
このあと3ヶ月以上して、5月24日の広島経済レポートに気になる記事が出てきました。

120523hakushima-newsta.jpg

白島新駅、連絡通路デザイン見直し-設計2者に修正設計を委託:広島市

-前略-
アストラム白島新駅は、プラットホームが地下、改札口を含むコンコースが地上となる半地下構造。新駅と国道54号線の中央部に設ける連絡通路(延長約51m)を一体構造で大小の穴の開いたコンクリートシェル(約150m)で覆い、内部を吹き抜けの大空間としたデザインが特徴。当初は新駅と連絡通路は別々の構造とし、連絡通路は通行機能だけの幅6.5mの簡易な屋根をかけた構造だった。しかし、基本設計で新駅と連絡通路を一体構造とする案を採用したため、連絡通路を最大幅20mまで広げる建設費に加え、これまでの調査で必要となった地盤補強対策や駅の排煙対策の費用がかさみ、約57億円を見込んだ概算の総事業費(JR新駅を含む)は約71億円に膨らんだ。このため連絡通路のデザインを一部見直し、通行部分(幅6.5×延長51m)だけシェルで覆うスリムな形に修正する。
-中略-
市は今後、JR新駅を含む総事業費を6億円程度圧縮し、約65億円に抑える考えだ。



ということで、どうやら、完成延期や予算超過の理由は地盤の問題だけではなく、設計案の問題が含まれることが明らかになったようです。

120623hakushima-coelacanth.png

プロポーザルで意匠設計者に選定されたシーラカンスアンドアソシエイツの案(以下、シーラカンス案)はトンネル状のシェルで連絡通路と地下駅をまるごと覆うことが大きな特徴でした。
しかし、この案は上の比較画像にあげたとおり、連絡通路の規模が大きなものとなる上、屋根も(通常の連絡通路に比較すれば)巨大なものとなるため、建設費が高騰する要因になったようです。

(私も傍聴した公開プレゼンテーションでは「特異な構造であるため建設が困難で建設費がかかるではないのか」というように、まさにこの点を指摘された覚えがありますが、議事録の残っていないものですので、あくまでも私のひとりごとにとどめます。)

そして、地盤の問題と連絡通路(の屋根)の規模が過大だったことによって建設費が吊り上がり、設計変更を余儀なくされたため白島新駅の完成が延期された、ということのようです。
さらに、この特異な屋根のせいで排煙に問題が出たらしいのですが、ぱっと見たところ天井高が高い上に開放部分が多い(シェルに空けられた穴はガラスのあるものとないものとを作るそうで。)ので一般の建築物に比べて排煙は有利にみえるので、どういう意味なのかは新聞記事に出る情報ではなんとも言えません。

連絡通路の屋根の規模が過大だったことが建設費高騰の一因だったとはいえ、この「過大な屋根」こそがシーラカンス案の最大の特徴で売りだったわけですから、設計変更するくらいなら他の案(コンパクトで無理のないワークヴィジョンズ案や坂茂案)を選べよ、と言いたくなりますが間違いなくそうはできませんね。
(そして、設計プロポーザルを行った施設が、現実的な条件を加味した結果、プロポーザル案と全く違う建築物となって竣工するのは建築の世界ではよくあるコトだったりします。)

プロポーザルでは現実の建設費は半ば度外視され、設計案自体の評価によって決まる面がありますから、税金によって整備される公共施設のプロポーザルは建設費高騰を招き、税金の無駄遣いと非難されかねないわけです。
この白島新駅でも、建設費が57億円から65億円へ上がってしまいました。

一方、このようなプロポーザルでできた公共建築は建設費が高騰したとしてもそれ以上の評価が得られることも往々にあります。
一番極端な例はシドニーのオペラハウスでしょうけれど、広島では基町高校を県内一の進学校に押し上げたと言われる校舎(原広司)や、矢野ニュータウンの人気の一因と言われている矢野南小学校(象設計集団)のような事例もあります。

だから、白島新駅の設計案の"欠陥"が整備の遅れの原因となったことがもどかしい反面、これが完成してみてどのように評価されるかを待つまで、迂闊に"断罪"できないなという思いもあるのです。


設計変更する連絡通路ですが、広島経済レポートにある「通行部分(幅6.5×延長51m)だけシェルで覆うスリムな形」とは一体何なのでしょうか。
シーラカンス案の「シェル」はコンクリートでトンネル状の構造物を作ったものなのですが、構造自体はアーチ構造と同様に両端が固定された曲線型をした断面全体で荷重を負担するのですから、「シェル構造で通行部分だけを覆う」と、幅を狭くした分高さも低くなる圧迫感のある形状か、現在の断面形状の一部のみを残した構造的に破綻した形状か、何れにしてもかなり無理がある形状になります。
シーラカンス案はあの大きさのシェルが作られることで初めて構造的にも空間的にも成立するので、この難条件を彼らがどのように解決するか、純粋に興味があります。



ちなみに、
白島新駅の一部であるJRの駅については「白島駅」として認可が降りているそうです。
このままでは、全く別の場所にある 広電「白島駅」、 アストラムライン「白島駅」 と紛らわしいので、開業までにはこれらの駅名を整理しなければなりません。
(昔からある広電はともかくとして、後からできたアストラムやJRの駅が「白島駅」を名乗るのは不可解なことだとおもいますが。)

私の個人的な意見としては、
現・アストラム白島駅→「白島北町駅」(JRの駅名が変更不可なら「長寿園駅」)
仮・白島新駅→「長寿園駅」(JRの駅名が変更不可なら「白島駅」)
現・広電白島駅→そのまま「白島駅」(JRの駅名が変更不可なら「東白島駅」)
とするのがすっきりすると思うのですが。

「長寿園」は現在は団地の固有名詞のように思われてしまっていますが、明治時代の桜並木に由来するれっきとした「地名」で、現在も団地名や白島新駅の入口となる(!!)交差点名につかわれて定着していますから、この場所を示す駅名に使用するにふさわしいのではないのでしょうか。
それに、「長寿園駅」とは縁起がよさそうですね。きっぷがおみやげになりそうです(^-^*)
  1. 2012/06/24(日) 00:08:16|
  2. 白島新駅
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めりみり

Author:めりみり
広島に暮らす、建築設計屋さんの下っ端です。
技術職の端くれとして奮闘しながら、
頭の片隅でひとり温めていた「街づくりの話」を書きだしてみます。

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