*Hiroshima-Terminal* 広島駅と都市開発について考えてみます

大きく変化しつつある広島駅の計画を中心として、広島の街について考えてみたいと思います。

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広電駅前大通線(1) - 3つの案と問題点

広島駅から都心へ入るとき、地元の人も出張に来た人も観光客も、大抵の人は路面電車を使うことになります。
広島のような人口100万人を超える大都市で、路面電車が基幹交通になっているのは日本では珍しいのですが、同じ規模の都市で主流になっている地下鉄やバスに比べると、
上下移動が少なく地上で楽に乗れることや、頻発することなどのバスのような利点と、
専用の線路を時間どおりに運行し、省エネルギーで低公害なことなどの鉄道の利点を兼ね備えていること、
そして、大型の電車を使って大量輸送できる割には建設費が少ないことから、近年見直されています。

広島の路面電車(広島電鉄:広電)は、日本で最大の路線網と最多の利用客数をもつのですが、
その路線はおおよそ戦前に完成したルートのままで、遠回りすることやカーブが多いために鉄道としては遅いどころか、区間によってはバスよりも遅いのが現状です。
その「バスより遅い区間」のひとつが広島駅周辺で、改良計画が出ては消えていたようです。
111228_hiroden1.png
この地図の緑線が現在の路面電車のルートで「広島駅電停」から「稲荷町電停」まで明らかに遠回りのルートになっています。
それを赤線で示した直線ルートに切り替えることで2~3分の時間短縮が期待できるそうです。

現在のルートの道幅が狭いのに対して、このルートの道路は十分な道幅があり道路交通の面から見ても改良したほうがよいのは予想できますが、
ひとつ大きな問題があり、広島市で検討されています。

それは 新しい広電広島駅をどのようにつくるか という問題です。
地元紙の中国新聞では、ここ1年盛んに取り上げられていたのですが、記事が残っていないので朝日新聞より。

路面電車、駅前通り線に3案検討 平面か地下か高架か


http://www.asahi.com/travel/rail/news/OSK201101070146.html
JR広島駅前の路面電車のルート変更をめぐり、広島市が「平面案」「地下案」「高架案」の3案を検討していることが7日分かった。大学教授や経営者らでつくる委員会に12日に3案を示すが、高架案は実現性が低く、運行する広島電鉄は反発している。
<中略>
一方、広電は10年以上前に駅前通り線への変更を提案。できるだけ早くルート変更したい立場だ。委員会は年度内に提言をまとめることになっており、広電幹部は「電車が上がれない案まで検討するのは時間の無駄。実現可能な案だけで話し合ってほしい」としている。


ということで、路面電車を運行している広電には「高架案」は大反対されているのですが、なぜ「非現実的な」高架案が検討されているのかといえば、高架案にも優れた点があるからです。

ここで、新聞記事やネットで拾い集めた内容から、各案について整理します。

■平面案

・(利点)JR広島駅入口と同一平面上で乗り換えがスムーズ
  (現在の広島駅電停も、1階の出口改札から真っすぐ歩いたところにあり、利便性があります)
・(利点)現在の広島駅電停施設を活用できる?
  (広島市の検討案では、現在の電停の位置は狭いため、現在とは逆の西側に設置するようにしていますが)
・(利点)電車の運行に無理がない
  (高低差が最も少ないため、古い電車もだいたい問題なく使えるようです)
・(利点)建設費は安価
  (30億円程度で建設できるそうです)
・(難点)広島駅前の信号で電車渋滞が起こる
  (現在の広島駅電停に入る信号は電車の渋滞ポイントです)
・(難点)駅前信号が交通渋滞ポイントになる恐れ
  (現在は電車・バス・タクシーの出入口が分散されていますが、これらが集中してしまうので)
・(難点)駅前広場の狭さを解消できない
  (駅前広場が狭いため、現在バス降り場は駅から地下道を3分ほど歩いたところにあります)
・(難点?)JR広島駅が橋上化された際には上下移動が生じる
  (JR広島駅には改札口をホームの上に移設し、あわせて商業施設を拡大する計画があります)

■地下案

・広電の越智秀信社長は、中国新聞で「技術的・物理的に可能なのは地下案だけ」だと表明しています。
・(利点)信号待ちが解消される
  (地下案では、稲荷町交差点を過ぎてすぐ地下に潜るため、駅前大通線には道路信号がありません)
・(利点?)電車の運行に無理がない?
  (広電は、地下に入るための坂は緩やかで、電車が昇り降りするのは容易だとしています)
  (しかし、広島市の検討案では、「高架案」とおなじ斜度の急勾配で設定してあり、
   私の試算ではむしろ3案の中で最も急な勾配の案だということになったのですが…)
・(利点)駅前広場を広く取れる
  (地上から電停がなくなる分、駅前広場が広がり、バス降り場のためのスペースも取れます)
・(難点)建設費が非常に高価
  (トンネルが長いため地上案の8倍から10倍の建設費が必要となります。ただし補助金あり。)
・(難点)乗客の上下移動が多く、JRから遠い
  (川を潜り、地下施設を避ける必要から、地下2階の「エールエール地下広場」より下に駅を作ることになります)
  (JRの改札が橋上化されると、地上3階から地下3階へ乗換することになり、路面電車の利点を潰してしまいます)
・(難点)比治山線との接続が困難
  (駅前大通線と比治山線双方にトンネルが必要になるため、難工事が予想されます)

■高架案

・(利点)信号待ちが軽減される
  (高架案では、駅前大橋から高架へ上がるため、駅前交差点で渋滞を起こすことはありません)
・(利点)駅前広場を広く取れる
  (地下案と同じ効果です)
・(利点)設計次第で他の交通との連絡がスムーズにできる
  (高架ホームからは同一平面でJRの橋上改札、直行階段を降りればバスホームやタクシー乗り場へ出られます)
・(難点)建設費が高価
  (地下案ほどではありませんが、地上案の約3倍の建設費が必要となるそうです)
・(難点)電車が登れない懸念がある
  (新聞記事にある広電の幹部の方の反対理由です)
・(難点)ASSE(駅ビル)を建て替えなければJRと同一平面で移動できない
  (広島駅の橋上改札は、ASSEの2階と3階の間の高さにあるため、広電が同じ高さでも、同一平面の通路は作れません)

このように整理すると、「地下案」はいかにも費用対効果が悪そうですが、
「地上案」「高架案」にもそれぞれの利点とクリティカルな難点があり、
利便性が高く問題の少ない案を考えることは困難な話に思えます。

今後、この広電駅前大通線についてシリーズ企画で考えようと思っています。

書きたい目次

・「高架案」は本当に「電車が登れない」のか
・電車が登れる高架案
・広電と他の交通をスムーズに接続する設計
・ASSEの建て替え問題

情報源

鯉党のひろしま街づくり日記 さま
 「地上・地下・高架案 広電が市へ提案
 「広島駅橋上化と広電駅前線を考えてみる
 「駅前線、年度内に決定」などなど
 質・量・議論のどれをとっても充実した内容をまとめてくださっています。
雑記帳@F-Page広島 さま
 「広電・駅前大橋線は広島駅南口・地下案で決定!??
 地下案が有力との情報も。そして、二葉の里地区への延伸案もあるそうです。
タウンNEWS広島 平和大通り さま
 「街をつなぐー広電の駅前大橋ルートと二葉の里駅
 高架案+二葉の里延伸の提案をされています。これも検討してみたら面白そうですね。
ふがじん業務外日報 さま
 「広島駅南口広場再整備検討
 広島市が検討していた「高架案」の詳細が記載されています。イメージパースもあり。
広島駅南口広場再整備に係る基本方針検討委員会 さま
 「[PDF]広島駅南口広場における交通・環境空間の規模、配置等の大まかな方針
 広島市検討案の詳細資料があります。



感想やご意見があればお気軽にお願いします。
ちなみに私の本職は建築設計で、都市や交通の分野についてはシロウトです。
情報をお持ちの方、土木や鉄道の技術者の方、都市計画に詳しい方、どうかご指導ご鞭撻賜りますようお願いします。
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  1. 2011/12/29(木) 00:38:05|
  2. 広電駅前大橋ルート
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

広島駅に注目。

広島駅の周辺地域は、現在、変化しつつあります。
駅の両側には再開発地域があり、紆余曲折ありましたが、2011年になって、ようやくほとんどの地区の計画がまとまりました。
そして、その核となるJR広島駅でも駅舎の改良と商業施設の拡大が行われることになり、さらに広島駅と都心を結ぶ路面電車の改良が計画されています。
数年後の広島駅は、現在とはまったく異なる表情を見せることになります。


変化する広島駅を通じて、広島の街について考えてみたいと思います。


■広島駅北側
 「二葉の里地区区画整理」(2010年12月起工)二葉の里地区まちづくり推進協議会
 「若草町地区市街地再開発」(2011年3月完成)広島市による紹介
■広島駅南側
 「広島駅南口Aブロック市街地再開発」(1999年4月完成)広島市による紹介
 「広島駅南口Bブロック市街地再開発」(2011年8月事業計画変更)広島市による紹介
 「広島駅南口Cブロック市街地再開発」(2011年7月基本協定締結)広島市による紹介
■広島駅構内
 「広島駅南北自由通路」(と、商業施設)
 「広電駅前大通線」
 「広島駅南口広場再整備」広島市による紹介

この記事は、まとめとして、徐々に書きたしていきます。
  1. 2011/12/23(金) 01:45:27|
  2. 広島駅周辺
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プロフィール

めりみり

Author:めりみり
広島に暮らす、建築設計屋さんの下っ端です。
技術職の端くれとして奮闘しながら、
頭の片隅でひとり温めていた「街づくりの話」を書きだしてみます。

ご意見、ご質問はどなたでもお気軽に書いてください。
ご指導も、ご指摘もぜひぜひよろしくお願いいたします。

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