*Hiroshima-Terminal* 広島駅と都市開発について考えてみます

大きく変化しつつある広島駅の計画を中心として、広島の街について考えてみたいと思います。

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広電駅前大橋ルート(18) - 景観に配慮した高架駅のつくりかた

前回に引き続き、高架についての話をします。
前回記事では、アストラムラインの高架を参考にして高架構造について分析してみましたが、アストラムの高架の構造、とくに桁高を決める上では重要な荷重の条件を広電に当てはめられるのか?、という問題がありました。
(前回記事へ きゆう さんが「路面電車の場合は高架にかかる負担が新交通よりも軽く済む・・・はず(?)だと思う」とコメントされていました。)

それに対し、私は以下のようにお返事しました。

それと、路面電車のほうがアストラムや日暮里・舎人ライナーより軽いのではないか、と言うことについては、路面電車では複数の電車が間隔を詰めて走ることがよくありますので、1スパンに掛かる荷重では大差ないのではないか、と考えることもできます。

アストラムの電車は1両約10.5tあるそうなので 10.5t/8m=1.3t/m となりますが、
(参照:http://astramline.co.jp/HRT1000.pdf
グリーンムーバーは1編成33.9tありますので 33.9t/30m=1.1t/m となり、アストラムよりやや軽い程度です。
旧型の電車(例・700型)では、13.5mの電車が20.0tだということで、 20.0t/13.5m=1.5t/m とアストラムより重くなります。
(もちろん、電車は厳密には等分布荷重ではありませんが、簡単に比較するために等分布のように考えて略算しています。また、この比較では乗客の重さは含んでいません。)

結局、アストラムと同等の荷重条件で高架を考えればよさそうです。


ということで、広電高架はアストラムや東京にある日暮里・舎人ライナーと同条件になりそうだと試算しました。

ここで、「日暮里・舎人ライナー」が登場したのは、きゆうさんから、軽快な高架橋の例として日本土木工業協会の紹介記事を紹介いただいたからです。
120513_dobokukyoukai.jpg
(C)2006 平野暉雄/社団法人日本土木工業協会

この高架橋について設計指導を担当なさった篠原修先生(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻教授)は、高架橋と景観について以下のように述べていらっしゃいます。

のんべんだらりと続く高架橋は、デザインの対象として最もやっかいな部類に属する。どこまでも延びていくので形としてまとめにくい。これが一つ。
大抵はさほど広くない街路にはめ込もうとするので、きゅうくつになり圧迫感を生ずる。これが二つ。
交差点を飛ぶところでは大スパンとなり、また右折レーンなどの影響もあって橋脚がすっきりと立たない。つまり不連続となる。三つ目。
特にボリュームが大きくなる中空の駅舎をどうおさめるか。四つ目。
数え上げていけばきりがない。


このご意見には、皆さん納得なさるのではないでしょうか。
「三つ目」「四つ目」については、前回取り上げたアストラムの写真が物語っています。
120430astram-2ss.jpg120430astram-3ss.jpg

先に取り上げた写真を見る限りでは、これに対する回答として、
・橋桁の幅を最小限にし、薄いスラブが持ちだされた形態にすることで量感を抑える
・シンプルな形態で、橋桁との視覚的連続性のある橋脚
ということを考えてデザインされたものということのようです。
なお、先の写真では高架橋が全体に透け、光を通していますが、工事中でスラブを作っていない(PC板を張っていない?)ためにこのようになっているだけのようです。
(写真と同じ場所のストリートビューで、完成後の様子を確認できます。)

たとえば、「三つ目」の交差点付近、右折レーンを回避する箇所についても、アストラムラインのように大きな梁が出ることを避けたデザインをされています。
120513_googlesv.jpg
(googleストリートビューより)


別の参考例として、岡山駅西口にできた高架タクシー乗り場を取り上げます。

タクシー乗り場と広電高架は荷重条件が違う(タクシー乗り場のほうが軽い)と予想されますが、広電高架駅と同様に比較的低い高さに平面的に広がる高架であるため、圧迫感が出てしまいかねません。
大きな構造物を街に調和させながら、内部の圧迫感をどのように軽減するか、という点に着目してご覧ください。

120513okayamasta-1.jpg
外見では、木ルーバーを表面に出すことで、コンクリートの高架を直接意識させないようにしてあります。
しかし、高架下が暗く見えることは避けられなかったようです。

120513okayamasta-2.jpg
高架下に入ると、外からみた印象よりはずいぶん明るい空間で、照明に加え、数か所の吹き抜けから採光されています。
また、高架下にはいっても天井部分は梁やスラブを直接見せないようにアルミルーバーやパネルが張られています。

120513okayamasta-3.jpg
吹き抜けのうちのひとつは、2階(駅・自由通路・タクシー乗り場のレベル)へ上がる竪穴として取られ、高架下への採光のためにエスカレータの上部が全面ガラス張りの天窓になっていることがわかります。

120513okayamasta-4.jpg
中心の車路の部分にも大きな吹き抜けが取られていて、ここからも光が入ります。
構造的なスパンとは関係なく、機能面から吹き抜けの位置が決まったように見えます。
(もっとも、この高架は正確なグリッド構造ではないようなのですが。)

120513okayamasta-5.jpg
上階のタクシー乗り場は木で仕上げられた開放感のある屋根で覆われています。
人の通行量に比べてかなり広い広場空間が取られていますが、広電高架駅でもホーム前にこの程度の広場(人溜まり)が必要かもしれません。
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  1. 2012/05/13(日) 23:26:26|
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広電駅前大橋ルート(17) - 「整備計画は混沌と」…日経新聞の記事より

=追記内容があります=

昨日(5月8日)、GKさんよりのコメントで、日経新聞の記事を紹介頂きました。
http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9C889DE6E3E3E0E5E7EBE2E2E5E2E7E0E2E3E09E91E2E2E2E2

JR広島駅の整備計画混沌 路面電車新線、3案動かず

2012/5/8 2:46

 JR広島駅周辺の整備計画が混沌(こんとん)としている。広島電鉄が駅前南口で計画する新路線「駅前大橋線」は、広島市が提示したJRの駅に乗り入れる際の構造を巡り選定が難航。北口ではバス、タクシー乗降場などを巡り、市の再編案に業界団体が難色を示す事態が起きている。

■距離と時間短縮

 「広島電鉄の広島駅前新線計画は全国でも注目度が高い」。4月14日、超党派の国会議員で構成するLRT(次世代型路面電車)推進議員連盟は広島駅周辺を視察し、議連として、新線の設置を支援していくことに意欲を示した。議員視察には広電やJR西日本広島支社などの幹部が広電の路面電車に同乗。市中心部の町並みや交通体系について説明した。

 広電が新線を計画するのは市中心部と広島駅南口を結ぶ路線の時間短縮を図るためだ。現在は、広島駅に向かう際、東側に大きく迂回(うかい)しているが、路面電車のため駅周辺でのバスやタクシーなどの混雑に巻き込まれやすい。広島駅に直線で進む新線を設置し、稲荷町の電停から広島駅までの距離を現行の800メートルから200メートル短縮、市中心部からの所要時間も15分程度を約5分短縮したい考えだ。

 広島市は2010年8月、駅前南口の再整備計画を話し合う検討委員会を設置。道路上を通る「平面案」(事業費30億円)、南口地下広場の下を通る「地下案」(同250億~300億円)、南口広場に高架を設置して駅ビルの2階部分に上る「高架案」(70億~100億円)を提示している。

 平面案は事業費が最も少なく抑えられるというが、タクシーやマイカーなどを含めた駅前の交差点が混雑することが想定される。高架案は路面電車が斜面の走行に耐えられるかが課題を残す。地下案では設計が可能かどうかの判断も必要となる。

 広電の越智秀信社長は「高架案は急勾配で上れないし、平面は渋滞を招く可能性がある。可能なのは地下案だけだ」と強調。事業費も140億円と想定している。一方、JR西日本広島支社の杉木孝行支社長は「広島駅のメーンの乗り換えの動線は2階のため、(高架化案が)有効だと考えている」と話している。

 広島市道路交通局公共交通計画担当の品川弘司課長は「3案が技術的に可能かどうかを検討している」としており、今夏にも技術的な検証結果を提示する予定。事業者からは広島の街のあり方に大きな影響があるにもかかわらず、結論が出ないまま月日がたってしまったことだけに「早く結果を出してほしい」との声が高まっている。

■北口でも課題

 北口の交通計画も難航している。現在、北口は西側がバスとマイカー、東側がタクシーの広場だが、西側をバスとタクシーに東側をマイカー専用に再編する計画。だが、業界団体は市に「接触事故などの安全面の課題が多い」との要望書を提出した。

 北口では「二葉の里地区」の開発、南口でも大型の商業施設やマンション開発の計画も進む。これら再開発のあり方も新しい交通体系の影響を大きく受けるだけに、その整備を急ぐ機運は一層の高まりを見せている。



前段の内容はこれまでの広電駅前大橋ルートをめぐる経緯と現状について、よくまとまった解説になっています。
「平面案」(私は、実際には平面ではない、との意味を込めて「地平案」と呼んでいますが…)、「高架案」、「地下案」それぞれの利点・弱点とそれをめぐる市・広電・JRそれぞれの主張がわかりやすく記載されています。

しかし、内容自体はこれまでこのブログで取り上げてきた情報と変わらず、
コメントでも指摘いただいたとおり、目新しい動きは一切見えませんね

=5/12追記=
と、書いた後日に、「鯉党のひろしま街づくり日記」さんで同じ記事を紹介されているのをみてハッとしました。
JRは、これまで出て来なかった広島支店長さんが、「広島駅のメーンの乗り換えの動線は2階のため、(高架化案が)有効だと考えている」と表明されています。
(以前の中国新聞の記事では、JR側の意見を述べたのは企画課長さんでした。)

JRが橋上化し、広電が高架化した場合、ASSEを貫通して連絡通路を設けなければ支店長のおっしゃる「有効な動線」ができないわけですから、
JRには、ASSEを改修する用意がある
と解釈するのが自然ではないでしょうか?

=追記部終わり=


また、北口についてはこの記事や、少し前の中国新聞の記事で触れられているとおり、広島市案に対してタクシー・バスの業界団体が反発している構図があります。
その一方で、全体計画の見えないままに広島駅自由通路(橋上駅)は設計が終了して、(一応)着工しているという半端な状況があります。
北口・南口を含めた全体像をまとめるためには予断を許さないはずですが、なにもかもがモタモタしていてもどかしいのです。


そして、白島新駅の中途半端さの二の舞が見えそうで怖くなります。
(白島新駅は、アストラム開業時に整備していれば、JR線路のすぐ南側をホームにできたはずですが、そうならなかったために勾配区間を避けるためにJRから250m離れた、城北駅にかなり近い位置にホームができます)
  1. 2012/05/09(水) 22:44:30|
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広電駅前大橋ルート(16) - 高架橋はどの程度の規模か

=追記部があります=

ずっとおやすみしていた、「広電シリーズ」ですが、そろそろ再開します。

広電は一貫して「駅前大橋ルートの高架案は勾配が急になりすぎて不可能」と言っていました。
それに対し、私は地形図からの再計算を行い、「むしろ広電の推進する地下案こそ勾配が急になりすぎて不可能」と主張してきました。

その再計算の際、「推測」した数字のひとつに、「高架橋の桁高」があります。
私の計算では、桁高を1.6mないし2.3mとした上で、広電広島高架駅の高さ(線路面)を地上6.8mないし地上7.5mとしていたのですが、この高さが妥当かどうか、またどの程度のスパン(柱間隔)を飛ばせるのかは深く検証していませんでした。
(とはいえ、この推測より2mほど高い位置に高架駅が来たとしても、勾配は広電の主張する45‰に収められると試算しています)


そこで、高架の構造について考えるために、広島で高架といえばアストラム、というわけで、アストラムラインの高架を調査してきました。

120430astram-1.jpg
=5/8追記=
まず、電車が高架を上がっていく写真ですが、電車の扉(高さ2.0m)との比較で高架橋の桁高がわかります。
側壁の下部に薄い水平ラインが見えますが、ここがスラブ面(橋桁の頂部)だとして考えると、この部分の桁高は2m弱、というところでしょうか。

120430astram-2.jpg
=5/8追記=
駅部分は同じ桁高で横に広がるような形状をしています。
一般部はPC桁なのですが、駅部や長いスパンの必要な交差点部では軽量化と強度の確保のため鋼桁になっています。
また、アストラムラインの電車は1両あたり8.4m(先頭車は8.6m)のため、この部分の高架橋は約30mスパンと分かります。

120430astram-3.jpg
=5/8追記=
交差点部分では約4mの高さがある大きな梁によって桁を支えています。
広電駅前大橋ルートでは駅前通りの中央2車線を広電に転用する前提(地平案と同条件)で考えればこのようにする必要はありません。
しかし、交差点部分を右左折レーンを増やすなど有効利用するには、このようにして交差点に橋脚を作らない方法も考えられます。
(そして、現状の駅前交差点をみると、このようにしないとクルマやバスを捌けないかもしれません。)

120430astram-4.jpg
=5/8追記=
この写真は新工兵橋です。
新工兵橋では、川を渡るためにスパンを飛ばす必要があり、川幅100mを2スパンで飛ばしています。
桁はずっと連続して見えますが、実際には通常の桁(1枚目参照)よりも桁高が1mほど高く、前後の桁にゆるやかなテーパーをつけて連続感を出しています。
(この写真の手前から2つ目の桁がそのテーパー桁です。)
また、長スパン部分と前後のテーパーは鋼桁で、他の桁はPC桁であることは、この写真からもわかります。

アストラムラインの高架橋は、連続性をデザインコンセプトとしているようで、景観へのひとつの配慮とも考えられます。
  1. 2012/05/01(火) 00:32:59|
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プロフィール

めりみり

Author:めりみり
広島に暮らす、建築設計屋さんの下っ端です。
技術職の端くれとして奮闘しながら、
頭の片隅でひとり温めていた「街づくりの話」を書きだしてみます。

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