*Hiroshima-Terminal* 広島駅と都市開発について考えてみます

大きく変化しつつある広島駅の計画を中心として、広島の街について考えてみたいと思います。

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白島新駅(1) - 白島新駅の工期延期・予算超過は「斬新な」設計案が一因??

今更感のある話題ですが、白島新駅の完成延期問題について取り上げてみます。

まず、白島新駅とはなんなのかについては、下記を参照いただくとして。
白島新駅 - Wikipedia
広島市/白島新駅の取組状況

白島新駅は、アストラムラインとJRの交点になる白島北町に、両線の乗換駅となる駅を設置する計画で、2014年春の完成を目指し、設計案(意匠設計者・詳細設計者)の決定までは順調に進んでいました。
しかし、着工寸前の2月初旬、
「追加の地盤工事が発生した」という理由で工期が1年延長され、
「地盤工事費用を捻出するため」という理由で連絡通路が簡素化されることになりました。
この件を載せた中国新聞の記事は過去記事(「広電駅前大橋ルート(14) - 白島新駅の記事から、ルート決定と地盤の話」)に全文転載しています。

これは非常に残念な出来事でしたが完成延期の理由は致し方ないもので、また、地盤が関係する工期延長はよくあることでもありました。
このあと3ヶ月以上して、5月24日の広島経済レポートに気になる記事が出てきました。

120523hakushima-newsta.jpg

白島新駅、連絡通路デザイン見直し-設計2者に修正設計を委託:広島市

-前略-
アストラム白島新駅は、プラットホームが地下、改札口を含むコンコースが地上となる半地下構造。新駅と国道54号線の中央部に設ける連絡通路(延長約51m)を一体構造で大小の穴の開いたコンクリートシェル(約150m)で覆い、内部を吹き抜けの大空間としたデザインが特徴。当初は新駅と連絡通路は別々の構造とし、連絡通路は通行機能だけの幅6.5mの簡易な屋根をかけた構造だった。しかし、基本設計で新駅と連絡通路を一体構造とする案を採用したため、連絡通路を最大幅20mまで広げる建設費に加え、これまでの調査で必要となった地盤補強対策や駅の排煙対策の費用がかさみ、約57億円を見込んだ概算の総事業費(JR新駅を含む)は約71億円に膨らんだ。このため連絡通路のデザインを一部見直し、通行部分(幅6.5×延長51m)だけシェルで覆うスリムな形に修正する。
-中略-
市は今後、JR新駅を含む総事業費を6億円程度圧縮し、約65億円に抑える考えだ。



ということで、どうやら、完成延期や予算超過の理由は地盤の問題だけではなく、設計案の問題が含まれることが明らかになったようです。

120623hakushima-coelacanth.png

プロポーザルで意匠設計者に選定されたシーラカンスアンドアソシエイツの案(以下、シーラカンス案)はトンネル状のシェルで連絡通路と地下駅をまるごと覆うことが大きな特徴でした。
しかし、この案は上の比較画像にあげたとおり、連絡通路の規模が大きなものとなる上、屋根も(通常の連絡通路に比較すれば)巨大なものとなるため、建設費が高騰する要因になったようです。

(私も傍聴した公開プレゼンテーションでは「特異な構造であるため建設が困難で建設費がかかるではないのか」というように、まさにこの点を指摘された覚えがありますが、議事録の残っていないものですので、あくまでも私のひとりごとにとどめます。)

そして、地盤の問題と連絡通路(の屋根)の規模が過大だったことによって建設費が吊り上がり、設計変更を余儀なくされたため白島新駅の完成が延期された、ということのようです。
さらに、この特異な屋根のせいで排煙に問題が出たらしいのですが、ぱっと見たところ天井高が高い上に開放部分が多い(シェルに空けられた穴はガラスのあるものとないものとを作るそうで。)ので一般の建築物に比べて排煙は有利にみえるので、どういう意味なのかは新聞記事に出る情報ではなんとも言えません。

連絡通路の屋根の規模が過大だったことが建設費高騰の一因だったとはいえ、この「過大な屋根」こそがシーラカンス案の最大の特徴で売りだったわけですから、設計変更するくらいなら他の案(コンパクトで無理のないワークヴィジョンズ案や坂茂案)を選べよ、と言いたくなりますが間違いなくそうはできませんね。
(そして、設計プロポーザルを行った施設が、現実的な条件を加味した結果、プロポーザル案と全く違う建築物となって竣工するのは建築の世界ではよくあるコトだったりします。)

プロポーザルでは現実の建設費は半ば度外視され、設計案自体の評価によって決まる面がありますから、税金によって整備される公共施設のプロポーザルは建設費高騰を招き、税金の無駄遣いと非難されかねないわけです。
この白島新駅でも、建設費が57億円から65億円へ上がってしまいました。

一方、このようなプロポーザルでできた公共建築は建設費が高騰したとしてもそれ以上の評価が得られることも往々にあります。
一番極端な例はシドニーのオペラハウスでしょうけれど、広島では基町高校を県内一の進学校に押し上げたと言われる校舎(原広司)や、矢野ニュータウンの人気の一因と言われている矢野南小学校(象設計集団)のような事例もあります。

だから、白島新駅の設計案の"欠陥"が整備の遅れの原因となったことがもどかしい反面、これが完成してみてどのように評価されるかを待つまで、迂闊に"断罪"できないなという思いもあるのです。


設計変更する連絡通路ですが、広島経済レポートにある「通行部分(幅6.5×延長51m)だけシェルで覆うスリムな形」とは一体何なのでしょうか。
シーラカンス案の「シェル」はコンクリートでトンネル状の構造物を作ったものなのですが、構造自体はアーチ構造と同様に両端が固定された曲線型をした断面全体で荷重を負担するのですから、「シェル構造で通行部分だけを覆う」と、幅を狭くした分高さも低くなる圧迫感のある形状か、現在の断面形状の一部のみを残した構造的に破綻した形状か、何れにしてもかなり無理がある形状になります。
シーラカンス案はあの大きさのシェルが作られることで初めて構造的にも空間的にも成立するので、この難条件を彼らがどのように解決するか、純粋に興味があります。



ちなみに、
白島新駅の一部であるJRの駅については「白島駅」として認可が降りているそうです。
このままでは、全く別の場所にある 広電「白島駅」、 アストラムライン「白島駅」 と紛らわしいので、開業までにはこれらの駅名を整理しなければなりません。
(昔からある広電はともかくとして、後からできたアストラムやJRの駅が「白島駅」を名乗るのは不可解なことだとおもいますが。)

私の個人的な意見としては、
現・アストラム白島駅→「白島北町駅」(JRの駅名が変更不可なら「長寿園駅」)
仮・白島新駅→「長寿園駅」(JRの駅名が変更不可なら「白島駅」)
現・広電白島駅→そのまま「白島駅」(JRの駅名が変更不可なら「東白島駅」)
とするのがすっきりすると思うのですが。

「長寿園」は現在は団地の固有名詞のように思われてしまっていますが、明治時代の桜並木に由来するれっきとした「地名」で、現在も団地名や白島新駅の入口となる(!!)交差点名につかわれて定着していますから、この場所を示す駅名に使用するにふさわしいのではないのでしょうか。
それに、「長寿園駅」とは縁起がよさそうですね。きっぷがおみやげになりそうです(^-^*)
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  1. 2012/06/24(日) 00:08:16|
  2. 白島新駅
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広電駅前大橋ルート(19) - 「路面電車の駅前大橋ルートに係る技術的検討業務」がついに開始

*まずはいつもあてにならない(^-^;)予告から*

本業のほうが多忙な時期に入ってしまい、このブログはまた休業してしまっていましたが、その間に色々な動きがありましたので、追って取り上げて行きたいと思います。

■広島駅自由通路(橋上駅)着工
■白島新駅設計不良(予算オーバー)の発覚
■B・Cブロック事業計画確定



*では本題*

ふがじんさんのTwitter(@fugajin)からの情報で気づいたのですが、
広島市の調達情報に今日(2012/06/15)付けの入札情報として、
「路面電車の駅前大橋ルートに係る技術的検討業務」
なるものが記載されています。
(詳細は広島市調達情報公開システムより、検索することで誰でも見ることができます。)


では、内容を具体的に確かめてみましょう。
まず、公告によると、
本業務は、路面電車の駅前大橋ルート(稲荷町交差点から駅前大橋を経由し、広島駅に至るルート)について、技術的な実現可能性を検証するため、高架案及び地下案の構造検討を行うものである。
と、いうことで、高架案・地下案いずれについても実際の工事を前提とした構造の検討を行うことになっています。

つまり、この業務によって私がさんざん議論の対象にしていた、
地下案は構造的に現実的なものなのかどうか、
高架案はどのような構造によって実現できるのか、
という2点がようやく明確になるわけです。
(地平案がないのは、信号や駅前広場の面積の都合であまり現実的でないため検討しないというよりは、駅前大橋が既に路面電車の荷重を考慮しているなどの理由で、土木技術的には検討の必要がないほど容易、というところでしょうか)


さらに詳細の内容は、「特記仕様書(検討業務編)」に文章で説明されていますが、

(1) 路面電車高架案の検討

路面電車の高架案は、駅前大橋の一部を改良し、路面電車軌道桁を整備するとともに、駅前広場に高架で進入する案である。

ア 駅前大橋の構造

・駅前大橋軌道桁について、設計計算及び断面検討を行う。
この結果を踏まえ、駅前大橋の下部工及び基礎工の耐力照査を行う。

イ 駅前大橋北詰~広島駅部区間の構造

・駅前大橋北詰~城北通りの標準桁について、設計計算及び断面検討を行う。
この結果を踏まえ、駅前大橋北詰~城北通りの下部工・基礎工について、設計計算及び断面検討を行う。
・城北通り跨線部~広島駅部区間の構造物については、類似事例から部材を想定する。
この結果を踏まえ、城北通り跨線部及び広島駅部の下部工について、照査(地震時の検討)を行う。
・以上の結果を踏まえ、南口地下広場の耐力照査を行う。

ウ 橋梁一般図作成

・高架案の橋長、支間割りを行い、橋梁形式を選定する。

エ その他

・上記ウを基に、概算工事費を算出する。
・広島駅部の橋りょうについては、広島の玄関口であることから、デザインについても景観性に配慮すること。
・騒音等の環境への影響を検討し、必要に応じて対策案を検討する。

(2) 路面電車地下案の検討

路面電車の地下案は、開削工法での整備を考えており、開削トンネルを前提とした一般図を作成するとともに概算工事費を算出する。また、地下広場躯体への影響や施工方法等を検証する。

とのことで、両案共に、現実の工事を前提とした内容で
構造を検討し、図面を作成し、概算工事費を算出する
ものになっています。

とくに高架案が詳しく記載されているのは、既存道路橋から取り付けられること、既存地下空間の上に建設されること、路面電車の終点駅を含むことなど一般的な高架橋と異なる点が多いからだろうと推測します。
しかしその一方で「広島の玄関口であることから、デザインについても景観性に配慮すること」の一文のように、広島市では高架案のほうがよいと考え、その弱点を克服しようと考えられているのではないかと思いたくなる部分があります。
(地下案については、地上からの掘割も、川の下を潜ることも、既存地下空間の下を通ることも、地下鉄工事ではよくある条件でしょうから多くを語るまでもないとは言えるはずですが。)


そして、「委託業務設計書」としてこの業務内容を細分した項目が記載されているのですが、

【路面電車高架案】

・駅前大橋軌道桁検討
・駅前大橋下部工耐力検討
・駅前大橋基礎工耐力検討
・広島駅部標準桁及び下部工・基礎工検討
・南口地下広場耐力照査(その1)
・南口地下広場耐力照査(その2)
・橋梁一般図作成及び概算工事費算出

【路面電車地下案】

・地下案一般図作成及び概算工事費算出
・地下広場躯体影響検討


ということで、技術的に大きな問題となる駅前大橋・既存地下広場への影響について検討することが必要されています。
これらの検討は資料として提供される駅前大橋・既存地下広場の構造計算書を使用するようです。
(これらを検討するのは当然必要なことですが、重要なことにもかかわらず検討されていなかったことでした。)


このような検討がないと、そもそも高架案・地下案が実現できるかどうかを判断できないわけで、今から検討するのはあまりにも遅いのではないか、と思うところですが、
とにかく、これまで混迷し続けていた駅前大橋ルートの建設が、ようやく現実化してきた、と歓迎いたします。


それにしても、この業務の完了日が10月末なんてことは、やっぱり今年夏に決定するのも不可能なんだって決定しましたね。
これも予想通り、というほかありませんが、この調子なら着工はいつになることやら………
  1. 2012/06/16(土) 00:10:47|
  2. 広電駅前大橋ルート
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プロフィール

めりみり

Author:めりみり
広島に暮らす、建築設計屋さんの下っ端です。
技術職の端くれとして奮闘しながら、
頭の片隅でひとり温めていた「街づくりの話」を書きだしてみます。

ご意見、ご質問はどなたでもお気軽に書いてください。
ご指導も、ご指摘もぜひぜひよろしくお願いいたします。

コメントには書きづらい話題がある、めりみりと個人的に情報交換したい、などという場合は、「非公開コメント」を活用ください。
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