*Hiroshima-Terminal* 広島駅と都市開発について考えてみます

大きく変化しつつある広島駅の計画を中心として、広島の街について考えてみたいと思います。

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広電駅前大橋ルート(23) - プランDの改良と、「全高架案」の検討

以前の記事で概略をアップしたプランDを少し改良してみましたのでご紹介します。
また、県警が比治山線のルート変更を要請したことに絡めて、高架を稲荷町交差点まで延長した案(全高架案、と呼ぶことにします)をあわせて検討してみました。

121028_viaductplan_d.png

※プランDと合わせて全高架案を描いたのですが、「プランDで駅前大橋までの高架」や、「他プランの全高架案」も可能です。

■プランDについて
以前挙げた特徴は以下です。
・乗車ホームが2面になるため乗客にとってわかりづらい(一応、「原爆ドーム経由」と「広島港行き」とで分けていますが、八丁堀・紙屋町に向かう乗客はどっちで待てばいいのやら…)
・渡り線で到着する電車と発車する電車とが頻繁に交差するため渋滞を起こしやすい
・スムーズな客捌きができる降車専用ホームは「宮島線」「宇品線」の2系統に対応。「江波線」「比治山線」は乗降兼用ホームで車内清算。
・車外改札は「宮島線」「宇品線」の2系統分がそれぞれ分かれている
・ホームの総延長がプランCより短いため、移動距離が短い
・一方、乗客の多い「宮島線」「宇品線」のホームを10m長くしたため、電車の大型化に対応できる(交差点間隔の関係で、すぐには無理な話ですが。)
・プランCに比べ駅施設がコンパクトで高架の面積が小さく、建設費が抑えられる。
・高架の水平区間が短いため高架の取り付け勾配を35‰に抑えられる。
・道路上に一部の分岐がかかるが、通常の高架構造(上路橋)で対応可能と考えられる

この案の利点をを残しながら、「渡り線で到着する電車と発車する電車とが頻繁に交差するため渋滞を起こしやすい」と言う点を改良したものが、今日の図面です。
具体的には、以前の案では渡り線が1箇所ですべての電車が集中したため、たとえば江波線の到着と宮島線の発車を同時にすることができませんでした。
これを改良し、渡り線を2つにしたことで、電車どうしの交差を最小限にしました。

また、プランCにあわせ、ペデストリアンデッキを追記しています。


■全高架案について
全高架案は、広島駅から稲荷町交差点までをすべて高架とし、広島駅前交差点に加え、駅前大橋南詰、京橋町10番の2つの交差点を立体交差した案です。
高架の延長が長くなるため、建設費や景観については不利になりますが、
地下案に比べて少ない建設費でありながらスピードアップが可能で、道路交通への影響を抑えられる利点があります。

全高架案の場合、高架の延長が長い分、高架案より緩やかな勾配になるかと考えたのですが、交差点を超える箇所があるため上下の勾配が付き、最大の勾配は45‰となり、結局他案と同等という結果になりました。
ただし、緩和勾配をとった上で45‰にしたため、実質的には地下案より緩勾配な条件となっています。

地平案や高架案の場合、交差点付近の車線数が減ることが懸念されましたが、この全高架案では現在並の車線数を確保しました。
(このため、駅前大橋南詰交差点付近ではビームにより高架を支持しています)

駅前大橋付近では長スパンを飛ばしながら美観を考える必要があるかと思い、軌道を駅前大橋と平行な形状とした上、上路式アーチで支える形態としてみました。
また、地下広場を跨ぐ部分に関しても同じ考え方とし、2連アーチを構成させています。

ただ、この駅前大橋部分に関しては、既存の駅前大橋とは全く荷重条件が変わってしまうので、今の橋台とは別に基礎を作る必要がありそうです。
このためには、駅前大橋の橋台を一部撤去しなければならないので、技術的に可能かどうかを検討する必要がありそうです。
(これができるかどうかを検討するのは私にはできません。)
  1. 2012/10/28(日) 17:28:28|
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広電駅前大橋ルート(22) - 新聞記事いろいろ、そして比治山線のルート

また、予告からしばらく空いてしまいました。
その間にも動きがあったので、少し取り上げてみます。


広電駅前大橋線「高架案」を

2012/9/9 中国新聞 →元記事

広島電鉄(広島市中区)が構想する新路線「駅前大橋線」について、JR西日本広島支社の杉木孝行支社長はこのほど、JR広島駅(南区)南口に乗り入れる構造は「高架案が最善」との見解を明らかにした。JR線への乗り換えの利便性などを考慮したとしている。

杉木支社長は2017年度に広島駅2階に南北自由通路を整備する計画に触れ「最短でJRから広電に乗り換えられる案が優れているのではないか」と言及。路面電車の乗り入れ場所は、自由通路に近い方が利便性が高いと説明した。

駅前大橋線の開通時期は「自由通路の完成からできるだけ早い時期が望ましい」とした。また乗り入れに伴う駅の改修については「現状で対応しきれない部分は努力していきたい」と述べた。

広電の越智秀信社長はこれまで、地下で広島駅に乗り入れる案が実現性が高いとの見方を示している。杉木支社長の発言については「バスやタクシー、マイカーの交通処理など、総合的に判断して慎重に検討を進めるべきだ」と話した。

一方、市は道路上を走る「平面」を加えた3案について、技術的な検証を進めている。市道路交通局都市交通部は「有識者などでつくる検討委の議論などを経て、市として最終的な方針を決める」としている。

JRの支社長さんが「広電は高架が良い」と言っていたのは、以前にもここで取り上げたことがあるのですが、(→記事リンク)さらに一歩踏み込んで、「対応しきれない部分への努力」つまり、ASSEの改修か、もしかしたら建替えに前向きだと表明したことになります。

一方の広電は、高架案に反対し、地下案しかないと言っていた理由である「技術的理由」に触れていません。
この記事にも一文触れられている通り、広島市が技術的検討業務を出しているので、この結果によっては、広電が言っていた技術的理由が成立しないことになります。(私は、そうなる可能性が非常に高いとみています。)
広電が「これまでの主張を完全に否定する事実が明かされること」を気にして、これまでの主張とは別の理由を語っていると読み取るのは、邪推でしょうか。


駅前大橋線3案を比較検討へ

2012/9/13 中国新聞 →元記事

広島市は12日の市議会都市活力向上対策特別委員会で、JR広島駅南口広場(南区)の再整備の基本方針を年内に決定する考えを示した。広島電鉄(中区)が構想する路面電車の新ルート「駅前大橋線」の乗り入れ方式を「高架」「地下」「平面」の3案の中から決め、基本方針に盛り込む。

再整備は路面電車のホームやバス、タクシー乗り場を利用者が使いやすいよう改善するのが狙い。2010年度、有識者の検討委員会を設け、議論してきた。

基本方針で大きなウエートを占めるのが、駅前大橋線の路面電車が駅前大橋から駅南口に乗り入れる構造だ。

市はこの日、3案について技術的に可能かどうか調査した上で10月以降、検討委が3案から最終案を絞り込む、とのスケジュールを説明。その後、乗り入れ方式を含む南口広場再整備の基本方針を決めるとした。

この内容は、以前に紹介していた(→記事リンク)「技術的検討業務」を踏まえた内容ですが(特に下線部)、技術的検討業務の納期は10月末なので、実質的に検討委員会が開けるのは11月以降、というスケジュールがはっきりしている以上、年内に最終案とやらを決定できるかも難しいところです。
ですので、「10月以降に決定する」との発表は、いつもながら怪しい表現に見えます。


そして、最近の記事をひとつ。

広電駅前大橋線に県警が難色

2012/10/14 中国新聞 →元記事

広島市による広島電鉄の路面電車の新路線「駅前大橋線」の検討で、同線に接続するために必要となる比治山線の路線変更に、広島県警が難色を示している。「交通渋滞が悪化する」として別ルートが必要と主張。駅前大橋線の在り方の議論に影響する可能性がある。

県警が問題視しているのは、広島駅と広島港を結ぶ比治山線の駅前大橋線への接続方法。市の検討では、現在の的場町電停付近から駅前大橋線まで、比治山通り上に約200メートル、新たな線路を敷き、現在の猿猴橋町などを通るルートから変更する。

県警によると、線路を敷く比治山通りは1日2万2千台以上の車の通行がある。高橋若衛交通部長は「電車を通すと車線が減り、混乱を招く」と説明。比治山線の比治山下電停付近から駅前通りに向けて軌道を新設し、稲荷町で駅前大橋線に接続する別の新ルートを提案する。

市は、駅前大橋線の乗り入れ方式を「平面」「高架」「地下」の3案で検討しており、県警、広島電鉄などと協議してきた。年内に3案を絞り込む方針。ただ、比治山線の接続方法の本格的な議論はこれまで行われていないという。
中国新聞より画像:中国新聞

最近、鯉党αさんの記事で話題になっていた問題です。
(→鯉党のひろしま街づくり日記-広島県警、駅前大橋線に懸念

県警が提案している、稲荷町から比治山下へ抜けるルートは、比治山線のショートカットとなる上、駅前大橋線から比治山線への接続方法が難題の一つであったことを考えると、合理的な解決策となる案です。
新聞記事では、「比治山線の接続方法の本格的な議論はこれまで行われていないという」とあるように、比治山線の接続方法はほとんど議論されていなかったのですが、駅前大橋ルートを検討する際に重要な内容であることに違いありません。

とくに地下案では、比治山線のルート変更を行わないとすると、本線のトンネルに加え、もうひとつのトンネルを掘らなければならず、地下案の建設費が高額になる重要な要因でした。
また、以前からこのブログで行っていた「断面検討」では、比治山線地下案の勾配検討はしていなかったのですが、
・比治山線側の勾配区間延長が本線より短い(本線:約310m 比治山線:約180m)
・比治山線側の交差点間隔が本線より短い(本線:京橋町10番~稲荷町が170m 比治山線:猿猴橋南詰~的場が120m)
・比治山線側のトンネル出口が本線より標高が高い(本線稲荷町:2.3m 比治山線的場町:4.3m)
参考地図
この3点より、本線地下案より勾配が急な条件となり、本線でも勾配45‰ギリギリであった以上、比治山線の地下化は(県警案の)ルートへ変更しない限り、物理的に不可能です。
なお、この条件を計算してみると、比治山線地下案の勾配は79.4‰!!!ということになりました。
(なので、45‰で可能、として、建設費を計算していた広島市の資料はなんだったのか、ということにもなりますね。)

県警が提案しているこのルート変更は、合理的ではあるのですが、解決が困難な問題点がいくつかあり、単純に高評価はできません。
比治山線のルート変更は鯉党αさんの記事に詳しいとおり、将来整備が計画されている段原線・東雲線へ接続しなくなりますし、猿猴橋町・的場町・段原一丁目の廃止電停をうまく代替する必要も出てきます。
(比治山線のルート変更を行わない場合でも猿猴橋町は廃止ですが、的場町が近いうえ、高架・地平案では駅前大橋電停を新設できるため、問題にならないでしょう。)

私個人としては、段原線完成後に、比治山線を県警案と同じ松川町まわりへ移設し、広島港方面への直結ルートと位置付けるのが、最も良いのではないかと考えます。
(なお、段原線で代替して比治山線を廃止する、との説もあるのですが、大きく離れているので段原線開通後も比治山線を残すべきだと考えています。)


というわけで、比治山線のルート変更を行わず、車線減少による渋滞を緩和する方法を考える必要があります。
このポイントになるのは、広島駅への自動車の出入りであり、駅前広場を含めた計画として考えなければなりません。
広電の線路のため、駅前大橋付近は車線数が減ってしまうのですが、広電が撤去されることになる荒神橋は4車線化できることになります。
荒神橋周りを広島駅の進入路として有効に使うように駅前広場を設計することで、駅前大橋南詰を「右折禁止」とし、渋滞の原因を取り除けないでしょうか。
  1. 2012/10/16(火) 21:42:57|
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広電駅前大橋ルート(21) - 広島市案?を元に考えてみると…

まず、広電広島駅の高架案について、広島市が出していた検討資料(→pdf)の中に、「高架案イメージ」として高架駅のCGパースがあります。
120916_plan_by_hiroshimacity.png
(c)2011 広島市

この絵を基にして、私が平面図化したものを、以前の記事で取り上げていました。
そして、そのしばらく後に、GKさんよりこの記事のコメントとして、以下の指摘を頂きました。

(めりみり各案について、高架の水平区間がどれだけの長さ必要か、という話題で)
広島市案予想図では、両渡り線&分岐(55m)+ホーム(35m)=80mとなり、35‰でも駅ビルとの距離を25m取って勾配と両渡り線のあいだの余裕を15m作れるので広島港並みのゆったりした両渡り線&分岐がちょうどいいサイズになります。



というわけで、広島市案をもとに、この指摘や後から判明した内容を加えて描いてみました。
グリーンムーバーより大型の電車に対応できる有効45mのホーム、乗降分離、30mの渡り線、
という、余裕をもった条件を満たしたとしても、この市案を基にしたプランなら、
35‰(!)という、現在の広電路線と同等の勾配で実現可能です。
120913_viaductplan_d.png
※この図面は作成中ですので、プランCほどの精度では描いていません。

もちろん、別のところでスペースを切り詰めたためプランCに比べて不利な点はありますが、いずれにしても高架案が現実的である、という論拠にできるのではないでしょうか。
↓これがプランC
120806_viaductplan_c.png


<9/16追記>

これら、プランCとプランDはそれぞれに利点と欠点があるため、整理したいと思います。
また、プランDは市案を原型として改良したものですので、プランDの特徴は市案の特徴と読み替えることもできるでしょう。


(以下の「特徴」を読む際、上にあげた平面図とはプランC・Dの上下が逆ですのでご注意ください。)

■プランCの特徴
・乗車ホームが1面であるため乗客にとってわかりやすい
・到着する電車と発車する電車との交差を避けているため渋滞を起こしにくい(比治山線の到着は他方面の発車と交差しますが、本数が少ないので…)
・渡り線の前に、混雑時用降車ホームを設置しているため、混雑を緩和できる
・降車専用ホームは「宮島線」「宇品線」「江波線」の3系統に対応。車外清算のためすべてのドアから一斉にスムーズな降車ができる。
・車外改札は「宮島線」「宇品線」「江波線」の3系統分が1か所へ集中している
・ホームの総延長が長いため、移動距離が長い
・一方、各ホームの有効長は連接車が入るちょうどの長さで、車両を大型化する余地がない
・駅施設が広いため高架の面積が大きく、建設費がやや高くなる。
・高架の水平区間が長くなるため高架の取り付け勾配が急になる。(とはいえ45‰未満)
・駅ホームの大部分が道路上のため、道路上に大規模な架構(立体トラス)が必要

■プランDの特徴
・乗車ホームが2面になるため乗客にとってわかりづらい(一応、「原爆ドーム経由」と「広島港行き」とで分けていますが、八丁堀・紙屋町に向かう乗客はどっちで待てばいいのやら…)
・渡り線で到着する電車と発車する電車とが頻繁に交差するため渋滞を起こしやすい
・スムーズな客捌きができる降車専用ホームは「宮島線」「宇品線」の2系統に対応。「江波線」「比治山線」は乗降兼用ホームで車内清算。
・車外改札は「宮島線」「宇品線」の2系統分がそれぞれ分かれている
・ホームの総延長がプランCより短いため、移動距離が短い
・一方、乗客の多い「宮島線」「宇品線」のホームを10m長くしたため、電車の大型化に対応できる(交差点間隔の関係で、すぐには無理な話ですが。)
・プランCに比べ駅施設がコンパクトで高架の面積が小さく、建設費が抑えられる。
・高架の水平区間が短いため高架の取り付け勾配を35‰に抑えられる。
・道路上に一部の分岐がかかるが、通常の高架構造(上路橋)で対応可能と考えられる


まとめると、
プランC:乗客にとってわかりやすいホーム配置、電車の渋滞や乗客の混雑を起こしにくい
プランD:シンプルでコンパクトな駅構造、将来的な状況変化に対応できる
といったところでしょうか。

<9/16追記ここまで>

※先週土曜日(9/8)の中国新聞に「JR西日本の広島支社長が広電高架案を推している」との内容の記事が出たことは承知しています。このこともまた取り上げるつもりですので、よろしくお願いします。
この記事については、鯉党αさんの「鯉党のひろしま街づくり日記」が先に取り上げていらっしゃるのでご紹介します。
鯉党のひろしま街づくり日記:駅前広場、基本方針は年内に。広電乗り入れも
  1. 2012/09/13(木) 16:21:15|
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白島新駅(2) - 設計変更の良し悪し

旬が過ぎた話題ではありますが、白島新駅(長寿園駅)の整備の遅れについて意見を書いていた以上、取り上げないわけにはいきません。

花と緑、白島新駅で新構想

2012/7/24 中国新聞より→中国新聞サイトへ

広島市は24日、JR山陽線とアストラムラインの結節点となる白島新駅(中区)の新たなデザインを公表した。JR駅とアストラムライン駅を結ぶ連絡通路の屋根を簡素化してコストを削減し、緑化などで「花と緑」というコンセプトを織り込む。事業費は約6億円減の約65億円になる見込みだ。

 当初のデザインは、アストラムライン駅と連絡通路を長さ131メートルの半筒形のコンクリート製屋根で一体的に覆っていた。新たなデザインはこの屋根を77メートルに短縮し、駅部分だけ覆う。連絡通路の屋根は人が通行する部分だけ設け、屋上に芝生などを植える。緑化は松井一実市長が進める「花と緑の広島づくり」を踏まえた。

 市は新しいデザインに基づき、来年初めから本体工事に入る予定で、15年春の開業を目指す。松井市長は24日の記者会見で「連絡通路では通路以外のスペースを花と緑の空間にしたい。維持管理は駅周辺の地域住民にもお手伝いいただきたい」と述べた。

120724_hakushimasta_minimized.png


この記事が縮小案についていち早く取り上げていましたが、広島市道路交通局による紹介ページもこの新しい案を元にした内容に更新されています。
広島市/白島新駅設置の取組状況
そのなかに、白島新駅の整備の遅れについて理由を解説した部分が加筆されていました。

白島新駅のデザイン見直し

1.デザイン見直しに至った理由

 白島新駅のデザインについては、平成22年度に実施したプロポーザルにより選定された設計者の提案を具体化するために、これまで、設計を進めてまいりました。

 しかしながら、連絡通路の施工時における山陽新幹線への影響等についてや火災時における新駅の排煙等の安全対策についての国との協議、また、プロポーザルにより選定した設計者の提案を実現しようとした場合、当初想定していた57億円の事業費が71億円と、14億円増加する見込みであることが明らかとなりました。

 平成23年4月以降、本市においては、限られた財源を有効に活用するという観点にたって、すべての事務事業の見直しを進めています。その中で、この白島新駅に係る計画についても、見直しを行っていくこととしたものです。

2.見直しにあたっての基本的考え方

 事業費縮減の観点はもとより、白島新駅が新たな交通結節点として都心エリアへの主要導線の一つとなり、多くの来訪者等の利用も見込まれる施設となることから、広島ならではの「おもてなしの心」を表現する場としても活用できるよう、「花と緑の広島づくり」の観点も踏まえ、見直しを行いました。

3.デザイン見直しの内容

(1) アストラムライン新駅本体については、当初計画どおりですが、事業費縮減の観点から、連絡通路部分の屋根を簡素な構造形態へ見直すこととし、ドーム状の屋根を取りやめて、歩行者の通行に必要な動線部分のみに屋根を設置します。

(2)「花と緑の広島づくり」の観点から、利用者の動線軸となる中央部の連絡通路において、快適な歩行空間づくりを目指し、地元関係者と協働して、花と緑にあふれる空間づくりに取り組みます。

 また、今回見直しを行った連絡通路の屋根については、国道横断部の連絡通路(2階レベル)から容易に視認できることから、中央部連絡通路全体として統一感のある空間を創出するため、屋根の緑化に取り組みます。



市による解説を見ても、設計変更の理由は予算超過への対応で、その予算超過の原因にはやはり「プロポーザルにより選定した設計者の提案を実現しようとした」こと、つまり、プロポーザルで選定されたシーラカンス案そのものが一般的な構造の駅舎に比べ高価な建設費になってしまったことが含まれていたとわかります。
そして、当初建設の遅れの原因として取り上げられていた「地盤強度の問題」は、この解説によると「施工時における山陽新幹線への影響」が主なものだったようです。


そして設計変更された案ですが、新聞記事にも市の解説にも出ているように「花と緑の広島づくり」をコンセプトとしてまとめられました。
元々のシーラカンス案は幅約20m、高さ約10m(?)のアーチヴォールトで作った下のイメージのような大空間が特徴でした。
120820_hakushimasta_old_innerview.jpg
この空間は中にいる人からはかなりの大きさが感じられる開放感のある空間ですが、一方ではスケールが大きいためにうまくデザインしなければ殺風景になりそうなところでした。
(そして、このイメージパースは、あっさりとした表現も相成ってですが、私には随分味気無い空間に見えます)
また、連絡通路・改札・ホームが一直線に見渡せる、空間の一体感が大きな特徴でした。

変更案では、通路部分のスケールが小さくなり、コンセプトでもある植樹や周囲の街の風景がよく見えるため、中に入ったときの味気なさは緩和されています。
一方で、改札やホームと連絡通路との間の見渡しがきかなくなったため、空間の一体感はなくなっています。むしろ、連絡通路にいる人の視野は「トンネル型駅舎」よりも周囲の街に向くでしょう。
また、元の案では一体の広場のような空間を形成していたのに対し、屋根の有無によって通路と屋外が明確に区分されてしまったことをどう評価するかは悩むところです。

こうしてみると、新しい設計案には良し悪しありますが、元のコンセプトと新しいコンセプトとをうまくまとめられた案なのではないかと思います。
白島新駅の整備が遅れてしまったことは非常に残念ですが、この案に決定したことで、以降の整備が順調に進むことを祈ります。
  1. 2012/08/20(月) 23:09:52|
  2. 白島新駅
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広電駅前大橋ルート(20) - 改めて、広電広島駅について考えてみます。

<8/1 8/6 追記あり>

長らくお休みしてすみません。
駅前大橋ルートについては、先月の記事で紹介した「技術的検討業務」が始まり、ついに本格的に動き出した感があります。

この「技術的検討業務」は7/2に開札があり、株式会社建設技術研究所さんが落札しています。
そろそろ、資料調査や基本的な検討を始めているころでしょうか。

ちなみに、この入札は下記のように、大手土木系コンサル4社が応じていました。
株式会社建設技術研究所 中国支社 ― 6,062,775円(決定くじ)
ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社 広島支店 ― 6,062,775円
復建調査設計株式会社 広島支社 ― 7,900,000円
パシフィックコンサルタンツ株式会社 中国支社 ― 8,784,000円


広電広島駅は(特に高架案の場合)広島駅とのASSEを介した接続をどのようにするかが重要な問題の一つになりますから、
ASSE(2000年の改修工事)や新自由通路の設計者であるJR西日本コンサルタンツさんが落札するといいのかなと思っていましたが、
同額のくじ引きで他のコンサルが落札した形になりました。
JR側は高架案推しという面があったことを考えると、中立的に評価してくれそうなのでこれはこれでいい気がします。


このブログでは駅前大橋ルートの技術的な検討や広電広島駅の設計案を公開してきました。
(まぁ、「業務」で行われるものとは比べるべくもない、甘々な素人検討ではありますが)
今回の「技術的検討業務」やいずれ行われるであろう実施設計では、ここに掲載してきた内容について私の権利を主張するつもりはありません。
むしろ、私案や私見が実際の駅前大橋ルート計画に影響を与えられたのだとしたら本望です。
(というより、私の書いてきたことがどれほど正確で、どれほど誤りか、ということが明らかになるのが楽しみです。)
ですから、これらの業務に携わる方に参考にしていただけたら、というつもりで書き進めます。
(ちなみに、やっぱりというか、建設技術研究所さんの社内からもこのブログを見られていました。)


さて、ここからが本題です。

この駅前大橋ルート、とくに広電広島駅がどうあるべきか、ということは、過去にもたびたび取り上げてきました。
(というより、このブログのメインテーマだったりしますね・(^o^;) )
とくに、約半年前には、高架案の広電広島駅についてプランA・プランBとして図面化していました。

高架案プランA・プランB

しかし、これを描いて以降もさらなる条件が明らかになってきたので、改めて整理し、図面化していきたいと思います。


<8/1 追記ここから>

明らかになった条件のうち、大きなものは広島市と広電への質問から浮かび上がった内容です。

広島市への質問と回答→記事
広電への質問と回答→記事

これらから浮かんできた条件は、
・電車の運行上、問題ない勾配の上限は45‰(旧型電車でも45‰までは走行可能)
・(広電曰く、)高架上に滞留スペースを広く取る必要が有るため、高架案では45‰の勾配に収まらない
というところでした。


他の条件としては、
・広電電車の荷重条件はアストラムラインなどの小型電車と同等なので、高架の構造や桁高も同等と考えられる→記事
・「広い高架構造」は、高架下が暗く見えることが避けられなさそう→上と同じ記事
・降車ホームはできる限りまとめ、「改札口」をつくったほうがよい→「プランA」に対するご意見
・電車が複雑に折り返す構造は分岐部分が長くなる上、運転に手間がかかり無駄が多い→「プランB」に対するご意見

といったところでしょうか。


<8/6 追記ここから>

というわけで、以前のプランAを基に、これらの条件を考慮した案を描いてみました。
プランAを利用したのは、広島市検討案とは全く異なる形状だったことと、プランBは無駄が多く難しいこととが理由です。
しかし、考えてみると、もとのプランAとはかなり違うものになりました。

120806_viaductplan_c.png

プランAとどう変えたのか、ということを中心に新しいプランCの特徴を書きますと、

・JRとの連絡通路の出口に30m×25mの立体噴水広場を計画
 →広島人にはお馴染みの「噴水広場」を継承して、プランAに滞留スペースが無いことを解消した。
・降車ホームを(できる限り)車外改札に
 →メインの降車ホーム(a・b)を車外改札としたことで、折り返し時間を短縮。比治山線用のc・混雑時用のdは状況に応じて車内改札と「出口の係員」で対応。
・高架橋の高さはASSEの3階に合わせる
 →現在の駅ビルASSEを利用することが前提になるため、広電の駅はASSEに合わせることでできるだけスムーズな動線を計画。同時に、駅前交差点の有効高も確保できる。
・高架橋が1階広場と重なる部分に、複数箇所の吹抜をとる
 →高架下は暗くなりがちなので、「立体噴水」を含めて複数の吹抜をとって影響を緩和。あるいは高架下を商業施設化することも考えられる。
・ホーム部分の高架橋は立体トラスで構成
 →広場や通路を確保したため、ホームの大半が道路上へ。道路上の長スパンが幅広の高架になってしまうため、この部分は立体トラスとして構造を成立させる。

と、こんな具合でしょうか。
  1. 2012/07/24(火) 23:52:55|
  2. 広電駅前大橋ルート
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プロフィール

めりみり

Author:めりみり
広島に暮らす、建築設計屋さんの下っ端です。
技術職の端くれとして奮闘しながら、
頭の片隅でひとり温めていた「街づくりの話」を書きだしてみます。

ご意見、ご質問はどなたでもお気軽に書いてください。
ご指導も、ご指摘もぜひぜひよろしくお願いいたします。

コメントには書きづらい話題がある、めりみりと個人的に情報交換したい、などという場合は、「非公開コメント」を活用ください。
非公開コメントには原則としてメールでお返事させていただいています。

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